地震史料集テキストデータベース

[未校訂]五月廿七日辰ノ時大地震、日暮迄度々也。地之底緩き所ハ
地われ候而、其口より砂上り申候、畑ハ作物江土砂上り候
而捨り申候、われ口一二尺有、長サ五七間より四五百間
程、以前横木袋、支丹沼跡之畑われ口殊ニ大きく御座候、
廿八日九日迄八九度ゆる。以上廿度程ニ而国中動顚仕候、
然共御国者壱人も損じ不申候
此度岩木山イヲウ山火付湯主之者見付候而湯入之者、弐百
人程イヲウ山へ上りけし申候。其内ニ百沢法印へ飛脚ニテ
断り立、右之旨、堀伝左衛門へ断候所、上下弐百人余ニ而
引上り湯へ参られ候。其内弘前へ飛脚ニ而申上候処、添田
儀左衛門、一町田権之進を先キとして物頭衆七人、廿七日
之日中打立、八ツ時湯へ着被成候、其中ニ国中迄御触廻り
候而家毎ニ壱人宛出、同日七ツ時迄ニ百沢吉田迄ニ走り集
り申候。然共火消候間同所より押返し被成候。扨この度硫
黄山火付候而、急変之処在々百性共御触ニ随ひ、早速走参
り候段、別而神妙之事ニ候、重而も諸事ケ様之急成節ハ、
公私ニ不寄、心を揃、走り集り、取鎮候様ニと被申渡候
右地震ニ而秋田能代辺ニ而、家七百三十軒焼、三百軒ハ崩
家、寺十一軒焼、七ケ寺ハ崩、人三百十四人死、米二万二
千石、大豆三百石、小豆二百石、粟二百石、煙草一万斤、
右之通り[壱|ヒトツ]書ニて参候間、如此写し置候。在々ニ而ハ飛根
村ニ而家百一軒、内八十六軒ハ惣焼、十五軒ハ半潰、男女
十五人死、百人余損傷、田方五百石損し、
鶴市村家六十七軒焼、内四十七軒潰、寺一軒半潰、死人六
人、痛三十六人、田地三百石
檜山村家四十二軒焼、百六十は半潰、此外四戸橋村、金光
寺村、森岡村、常盤村、人馬田畑等之損失多ク御座候へ共
不記写