地震史料集テキストデータベース

[未校訂]一當月十四日夜丑中刻大地震ニ而、尾州津島ハ御祭禮中大混
雜、同所本社等も倒れ、町家兩三軒潰れ候由。勢州四日市
宿北町不殘、南河原不殘、南町は半丁斗倒れ、十五日曉頃
出火致、同宿町家八九十軒餘も燒失、同日未之刻鎭火之よ
し。
一勢州は桑名石藥師追分庄野邊大荒ニ御座候よし。龜山關坂
下は格別之事無之由。大津草津石邊水口土山邊大荒ニ候へ
共、家は少々打倒れ候由。
一近江・伊賀・大和・河内・山城之内藤堂和泉守樣伊賀上野
御城内大損之由。幷御家中町家共大半打倒、往來赤泥吹出
し、五百人斗行方不知。是ハ土中へ震込候哉相分り兼候由。
南都は潰れ家六分通、六分通りは大半損、怪我人多く、即
死百三四十人斗も御座候よし。郡山邊も同樣之趣ニ御座候。
一京都は東南之方家土藏共大損致候へ共、北西之方格別之義
無御座候。伏見邊大坂は行燈の油ゆりこぼし申候程にて、
潰家等無之、筑後樣河岸藏幷御門長屋等倒れ候よし。天王
寺邊は別而強く、泉州堺兵庫池田邊も同樣之由ニ御座候。
但京・大坂・伏見・南都は十四日夜子ノ刻頃と申事ニ御
座候。尾州・伊勢・伊賀邊は同夜丑中刻と申候由。右何
れも十七日朝迄震申候由。
右之通上方飛脚取次所より申越候間御届申上候。以上。
寅六月廿二日