地震史料集テキストデータベース

[未校訂]文政十一子年十一月廿三日、御月番大久保加賀守樣
御退出江、御届書差出、
私領分越後國蒲原郡の内、當十二日卯下刻頃大地
震に而、一ノ木戸村陣屋内、家居不残相・潰、即死
人も有之、其外村村、同様の儀に而、怪我人等も
數多有之由、相聞候得共、未確と相分り不申候旨、
彼地詰家來共より申越候に付、先此段御届申上候、
猶委細之儀、追而御届可申上候、以上、
十一月廿三日　松平　錫
右に付大目付石谷備後守様江も、同断御届書寫差
出、
十一月、
一三島郡脇野村、潰れ人家四十軒餘、死失人十人餘
怪我人多く、其外在々、右同様、同郡奥板町、皆
潰れ同樣、漸く人家二十軒許リ、寺三ヶ寺相残リ
候得共、是も潰れ同様、死失人七十人餘、怪我人
數不知、其外在々、右同様、長同町之儀は潰家二
十軒許リも有之候得共、無難同様、信濃川廻リ見
附街、家數二百軒餘有之處、皆潰れ、出火、不殘
燒拂・今町、家數同樣皆潰れ、出火、内當支配所
村々、其外村々十ヶ村、皆潰れ、出火も有之堤御
面地大崩れ、割口より腐材木青泥吹出し、三條町
皆潰れ、出火、不残焼拂、出火之儀は、十二日朝
五ツ時ゟ夜八半時迄、死失人四百人、怪我人數不
知、三條町より三四里東まで、數十ヶ村、皆潰れ、
大地相割れ、材木青泥吹出し候儀は右同断、村々
死失人、怪我人、未不相知、信濃川西燕町、皆潰
れ同様、死失人數相知不申候、近在村數十ヶ村、
右同断、西側彌彦山附村々、無難候由、彌彦より
吉田町江道法二里、東吉田町、家數五百軒餘之處、
百軒許りも潰、死失人相知不申候、新潟町、無難
同樣、寺泊より海邊は、格別之難も無之趣、其餘
〓方之儀は、未風聞も無之候、右之通り風聞書取寫
呈上儀、以上、
文政十一子年十一月十四日出雲崎陣屋元町役人
文政十一子年十二月十二日、御用番松平周防守樣江、
左之通差出す、
先達而御届申上候、私領分越後國蒲原郡之内、二
十七ヶ村、去月十一日夜より大風雨にて、翌十二
日朝に至り、小雨風烈之處、卯中刻頃より俄に大
地震致し、即時に一ノ木戸村陣屋内、長屋土藏等
揺潰、其餘村々百姓家、寺社等、揺潰半潰等相成
り、即死、怪我人、多分有之、同時内藤紀伊守領
分、同郡三條町より出火、私領分之内、右家潰村
々、家居揺潰候後、類焼仕、其外川添村々之儀は、
圍堤、割裂缺崩等に相成、且村方に寄、田畑割裂、
〓砂吹出し、道路副損候場所も御座候、右箇所、
左之通、
一陣屋内長屋潰　五棟、
一同土藏潰、　一ヶ所、
一同門潰、　一ヶ所
一同物置潰、　一ヶ所、
一同長屋半潰、　一棟
一同社半潰、　一ヶ所
一同牢屋半潰、　一ヶ所
一同牢番小屋潰、　一ヶ所
一同構板塀大破　所々、
一同郷蔵破損、　一ヶ所、
一同役藏破損、　一ヶ所
一百姓家潰、　千百八十四軒、
一同潰之上類焼、　百三十八軒、
一同半潰、　五百二軒、
一土藏物置潰、　二ヶ所
一同潰之上類焼、二十八ヶ所、
一同半潰、　十ヶ所、
一郷藏潰、　三ヶ所
一同半潰、　五ヶ所、
一寺潰、　七ヶ寺、
一同潰之上類焼、　一ヶ寺、
一同半潰、　五ヶ寺、
一堂幷拝殿潰、　四ヶ所、
一同半潰、　四ヶ所、
一高札場半潰、　一ヶ所、
一堤割裂缺崩、　千九百五十九間、
一江長九十間程揺埋、　一ヶ所、
一即死人、　百四十五人
内四十三人、　男、百二人、　女、
一怪我人、　百九十六人、
一斃馬、　三疋、
右之通御座候段、彼地差置候家來之者共より申越候、
此段御届申上候、以上、
十二月○十二日　松平　錫