地震史料集テキストデータベース
[未校訂]○コノ記録ハ、嚮ニ本会○震災予防調査会ヨリ田所氏ニ託シテ抄寫セシモノナリ
宝永四丁亥年
一十月四日、未上刻大地震、土藏古家播リ崩、間モナク津浪上リ、本町、片町、紺屋町、多ク流失、
江川浦木残流失、田辺大橋落申候、何様急ナル事故、老人子供流死二十四人、牛馬犬猫等之死亡数不知、人々蓬莱山、上野山寺等ヘ迯去候
船モ家モ一所ニ成、夕方迄津浪三度來申候、夜ニ入候而モ可來哉と皆々山上ニ臥シ申候、夜分松明提燈ニ而道具拾ヒ寄候ニ付、紛レ込盗賊多有之、御役人御制度被成候得共、一向行届不申候覚
一家数四百三十一軒町、
内
百五十四軒流失、
百五十八軒潰、
百十九軒大破、
一藏百三十五箇所同、
内
六十箇所流失、
七十五箇所潰、
一家数二百八十軒江川浦
内
五十五軒潰、
二百二十五軒流失、
一藏十六箇所
内
九箇所潰、
七箇所流失、
一流失人二十四人
内
七人男
十七人女
〓一浦辺在中村村之儀、田辺町同様ニ崩候筋、流レ候筋、夥數有之、委細書記スルコト能ハズ一、此度大浪ニ而往來道橋道路通リ難キ所々、只今急ニ御普請難成候間、先ヅ百姓共繕ヒ仕候而往來通路仕様儀、御通達有之候、一十月十四日御達左之通
此度津浪ニ而金銀札拜諸道具流散候由ニ付、町在之者共之内、過分ニ拾取候者モ有之由、失候者共不便成儀ニ候間、如何様之物拾ヒ候哉、拾ヒ候ハヾ、相應ニ其者共ニモ爲取可申候間、隱シ置不申達出候様、若シ隱置、外ヨリ相知候ハヾ、急度科可申付者也
十月、
一米三十九石、御上ミヨリ御救抉助ニ被下置候是ハ田辺町許リ之分
一田辺組村方之内、西ノ谷、糸田、目良、湊、神子浜、敷、新庄、七ケ村、御上ヨリ御救扶助米十一石九升、并麥種三十石、農具料銀一貫六百九十二匆五分被下置候、又其後右七ケ村ヘ米三十七石二斗、麥百二十四石、糠二十八石八斗、塩四十五俵被下置候一十一月廿二日御通達
此度地震津浪ニ付、大工日〓共、賃銀高ク取申者有之様相聞候、追而定メ遣シ可申候
十一月廿二日一地震之節、武藏相模駿河三ケ國、砂積申ニ付從公儀高掛百石ニ兩ヅ、出金被仰付、翌年六月廿一日、目録認相達覚田辺領
一高三萬四千三百三十四石八斗九升
内
九拾八石四斗五升六合引高
残高三萬四千二百三十六石四斗三升四合
此金六百八拾四兩貮歩ト、銀拾參匁貮分貮厘
内
金五百四拾八兩一歩、銀丸匁一分七厘
上納、
金百三拾六兩一歩、銀四匁五厘、
是者地震津浪ニ而、只今御立難仕分
右之通一宝永六己丑年三月、左ニ通書上
覚田辺町
一流家二百六拾九軒、
一潰家二百七拾四軒、
〓五百四十三軒、
内
五十三軒建直シ
三百二軒小屋掛
六十九軒潰家押直繕
百十九軒未建家
右之通ニ御座候以上
丑三月田辺町大年寄
連名