地震史料集テキストデータベース
（元禄十六年）
○霜月二十三日ノ夜丑半刻、江戸大地震、此已後毎日度々震ス、小石川小河町 御城辺尤甚シ、王侯ノ第宅・旗本ノ屋敷多ククヅル、死候者数百人、三浦壱州ノ屋敷ニテモ十三人、御老中方ノ屋敷モ多シ、筑地裂水出ツ、江戸中ノ土蔵シメリクヅル
水戸侯御殿・御長屋破損多シ
御守殿ノ蔵タヲレ、奥方番関平兵衛死ス、其外ケガノ人多シ、至已後、
コノ已下カキ込ノヤウニ見ル
方丈様ニテ伊王孫ハウタレ死、相州ニテ
殿様、若殿様、八重姫様何も御庭へ御ノキ、タキ火ニテ外ニ被成御座、ニ、三日御供ノ衆皮羽織ニテツム、諸方ノ屋敷モ如斯候
○土浦辺ヨリ東ハカルシ、水戸モ少々震フ、小田原ノ城地震ニテクヅレ、火事アリ
鎌倉ニテモ玉宝院様御家来伊保野孫七ウタル
武蔵鎌倉ノ地震ト見ヘタリ
故老ノ曰、近年来無之所也 江戸ハ五十五年前六月廿日、京ハ四十四、五年前ノ地震如此ト云
○箱根ノエノキサカツブレ、道中ノ飛脚コトワリニテ脇道ヲマワル
○霜月中史館休ム
○霜月廿八日九ツ時若殿様ハ重君トトモ御下屋敷へ御帰り、宰相様先ツ御マチウケニ御出被成候、鶴姫君ハ西ノ丸へ御入り
○今度ノ地震ニ付、御普請ノ惣奉行秋元但馬守被仰付候、又仰出シニ曰、唯今ヨリ諸御番所ノ御番ノ者、地震ノ節ソノマヽ番所明ケノガレ可申候、ウタレ候て其身不調法也、且又地震・火事之節、御譜代大名大分御詰被仰付候為之、火消旁被仰付候タメ也
○紀州様御火事ノ後、土屋相模守殿御□二万両被進候
○小田原ハ海ノ方ヨリドロ／＼トシメ、ソノマヽ城モ町モクヅレ申候、ミナ／＼海ハタヘ逃レ候ヘハ、ツナミウツ、扠火事アリ山モクツル
○下総国海へハスキトツナミニテ人死ス、唯六人トヤラノコリタル村モアリ
○品川ヘモナミウチ、舟ナドソンス
○盗、江戸ノ町へ来り、ツナミトテ訛言ス、サワカセテ盗可申タメ也
○甲州大地震ナリ、甲府様御屋敷モ地震ニテ火事出来、大分人死
○江戸町中サワキ、廿七日当りヨリ商ミセ出ヌ位ナリ
○水戸御屋敷ニテ死人二人也
○御城ハ三ノ丸ツヨキ由、去年仲御普請ニテ出来ノ処スキト瓦落ツ、三ノ丸様、五ノ川（本ノマヽ）様ノ御ツキ屋クヅレ、人大分死
○大久保隠岐守屋敷ツブレ申候、大平ノ内御切手門ツブル
○長崎奉行石尾安房守殿上りニテ、小田原ニ宿り申候時、地震ニテ家来ウタル、江戸へ帰り被申候、屋敷モツブル
○林大学頭殿、地震ノ時臥シテ居申候ヘハ、座敷ツブレ候ユヘソロ／＼ヲキ、七三郎殿部屋ヘ行キ被申候、明朝松平淡州、鍋島信州〓人集り番スルコト
○松平大学頭、御守殿ノ火消ナルガ、先日火事ノ時分讃岐様へ御見舞ニ被成御座時ニ俄ナルコトユヘ、ソノマヽ御カケ付被成候、自身ハ白ムクニテ家来四騎ノリ被成候、ソレヨリ先ニ、マトヒ持ハ来りテ待テ居ル
○水戸様御マトヒハ □（紋の図像） 柴アラヒノ御紋アリ
○御城御普請ニ付（惣奉行秋元但馬守）御手伝ノ大名衆七人、松平大膳大夫、加藤遠江守、藤堂和泉守、丹羽五郎三郎、立花飛騨守、戸沢上総介、松平右衛門督、上杉民部大輔モ大膳大夫方ヘ加ル
○霜月廿九日夜六ツ半時、水戸宰相君奥方ヨリ出火シテ、本御殿、御守殿、御成御殿ヘウツリ、御弓町、湯島、聖堂、明神、天神、下谷、加藤遠江守屋敷ノキワ迄、夫ヨリ南東ハ本多能登守、宗対馬ノ守屋敷ヲ始メ、和泉屋橋、新橋、浅草橋焼、馬喰町、霊カン島迄焼、両国橋ヤケ、人五、六百人□度ニヤケ、溺テ死、本荘へウツリ、霊岸寺ノ辺迄、西は通町、スタ町〓シメ、東ノ方ウツリ、日本橋ノキワ迄、西ノ方ハ太田津ノ守ノ屋敷より丁スヂマリ、右ノ同刻ニ本妙寺ノ下ヨリ出火、本郷へヤケ出森川宿ヨリ駒込、松平加賀守屋敷、水戸君下屋敷半分、長屋計、、時ハ重君、中将君御殿ニ御座候時也、|、中将君御前キ乗ニて御城ヘ御入り、、舜水堂モヤク、小笠原信濃守下屋敷、甲府君屋敷半分、同時ニ谷中随林寺ノ辺ヨリ出火、惑応寺寺内半分ヤケ、上野寺中モニ、三間ヤク
○余宅火災、家財書物不残ヤク、少キ穴蔵ヘ家財入タル計ノコル、書物、具足、馬具、宝物ハ栗山源介土蔵ニアリ、地震後クラユリ破リ、ヌラズ故ニ火入ル、長持・夜着ハ青木周造土蔵ニアリ、火入テヤク命哉
○家君右ノ夜御殿ヘ出、大奥ハタラキ御供シテ行ク、家母六郎ハ小児ヲ負、走テ釘谷可然ノ大和丁 前□四郎之邸、明日筑地へ引越ニ来候也
○宰相君ハ、右ノ夜駒込ヘ御出、八重様御様子御覧可被成とアル処ニ、白山御殿迄御廻り候ヘ共、通路塞り、ソレヨリ直ニ中山備中守下屋敷へ御入り、上使一柳土佐守御台様〓御広敷御番上使トシテ長持ニ夜着サマ／＼被遣
○十二月朔日、中山備中守牛込上屋敷ヘ御入り、御屋敷トナル
○二日、上使小笠原佐渡守近二万両被進候
○十二月四日か五日、八重様駒込御殿へ御帰り
○甲申正月廿六日川原書院御サシカケ御殿出来、御帰居也、今日中山備中守ヘ被下物
殿様〓刀馬クラツキ銀百枚、時服樽肴 若殿様〓御脇差巻物樽肴案カ、季様〓被下物、備中母へ親類へ銘々被下候物也
○未極月十二日肥田十蔵和泉守ニナル
地震ツナミ
未十一月廿二日ノ夜八ツ時死人
一、房州ニテ拾万人
一、奥州ニテ七里四方ニテ七万人
一、江戸ハ三万七百十三人
一、小田原ヨリ江戸マテ一万五千人、合二十五千七百十三人
一、小田原ニテ二千百九拾人、内、男千百五十人、、女千百三十九人、、外拾八人男女体不知
一、城中侍ヤシキ足軽家并町家不残、内五百六十三軒焼失
一、残家八十七軒、内八軒焼
一、牛馬四百四拾疋
（中略）
宝永元年
○甲申正月到今年地震不止
（中略）
○二月六日聖堂御造営可有之候由、林祭酒造御内言被仰せ出候、此後伊達遠江守在国ノ所ニ御呼出しアリ、御手伝被仰付、奉行井上大和守
（中略）
○三月末御城御普請ニ付御手伝入候故、大名衆七、八人又々被仰付候、松平兵部殿なとを始テノコト、是ハ交代ノ衆ノカワリト見ユ
（中略）
○松平兵部大輔ナトハ御城ちうぢやく御門ノ内也
旧冬〓御手伝御普請ノ大名ヤハリ交代ニ仰付、松平大膳大夫ナドサヘ御褒美時服五十、立花飛騨守時服二十、例ノ被下物ノ外也、加藤遠江、戸沢上総ナド時服十ツヽ、大膳大夫家老宍戸丹波銀五拾枚、時服三ツ、何も家老ハ銀二十枚ツヽ
（中略）
○五月ノ末御城并方々御普請御手伝又候被仰付候衆大名五六任
（中略）
○夏中秋田大地震人多死
（後略）