地震史料集テキストデータベース
[未校訂]二二五四日此夜五ツ時大地震ユリ候、又同夜鳥（酉）前二
度小地震ユリ候、猶五日朝小地震ユリ、同五日九ツ
下リ小地震ユリ、同五日八ツ頃ニ中地震ユリ候事
二三〇二十日此日出立ニテ、榛名山代々参詣トシテ、新左衛
門弟林蔵・吹路村山根彦兵衛忰金次郎三人同道之処、
出先ヨリ善光寺御開帳へ参詣可致様、兼テ金次郎心
懸有之、夫より三人ニ而廿一日榛名出立、中一泊りニ
テ廿三日九ツ半頃善光寺宿坊円乗院イ着、翌廿四日
滞留致居、同夜五ツ半頃大門前仕出し茶屋ニ酒食致
シ居候所、大地震ユリ来り家潰レ漸ク林蔵・自分弐
人助り出候処、直ニ町中出火ニ相成り、金次郎死去行
衛不知、且丹波嶋大川水元山（岩くら山）崩レニ而、
析留り水ナクカラ岡ニ相成り居候ヲ越シ、廿五日夕方
戸倉宿迄大怪我ヲ受ナガラ、林蔵ニトモナハレ着致
シ、右戸倉旅人宿屋ニテ夜ヲ明シ、夫ヨリ通シ駕篭ヲ
雇、廿六日信州さなだ村ニ旅宿シ、廿七日吾妻今井村
ニ泊シ、廿八日中之条町ニテ町田明七殿方ニ泊り、廿
九日帰宅いたし候事、右ハ全道了大権現様目前ニア
ラワレ候程之事ニ而、一命ヲ被助誠ニ難有次第筆紙ニも
尽シガタク、依之帰村直ニ代参相立候事、板割職人栄
次郎ト申ヲ遣ス、右善光寺之事件者前代未聞大変之事
ニ而、同行之者死人行衛見届候抔ト申儀不及事ニ而、皆
助り候もの其侭逃帰宅候者一般之事ニ而、別而自分共
義ハ多分之怪我等いたし其侭相帰り候次第、然処彦
兵衛義何歟疑心之由ニ而彼是申、其上御役所へ出訴ト
申須川村迄出懸候得共、了簡違之様子ニ而同所より立
戻り、且又須川村始メ近村役人中取懸行違ノ段、和
熟之取扱有之候ニ付任其意ニ中（仲）直りいたし候事、
夫より彦兵衛ニ而死亡人ダミ式致候事