[未校訂]同(三月)十八日 朝快晴一天に雲なし
岩木山終日[能|よ]く見ゆる 昼頃より惣天薄曇り日光底に
見ゆる北[山瀬|やませ]風にて松の音ごう〳〵として居間障子
がゞめきはげし 八ツ過ぎ七ツ頃迄北山瀬にてよわく成
り候え共風寒むし(中略)先月二日巳の刻東海道相州小
田原大地震にて右城下十里四方家蔵相潰れ 箱根山樹木
倒れ大石転び即死之者 千弐百人余怪我人数多その数知
れず 尚大久保加賀守様 御城御櫓崩れ五日迄の内始終
震動いたし 家住居相成り難く野原へ小屋懸けにて居候
よし 漸く七日銘々居宅へ帰り候よし 江戸表は無事に
御座候よし 近来珍しき大地震のよし 此辺三カ一も田
打に入る 打[支舞|しまい]の人もこれ有り候よし