地震史料集テキストデータベース

[未校訂]二　政治・社会を見る目
31　弘化四年五月
諸国災害および怪事件につき風説覚書
「（表紙）」
弘化四年
信濃国大地震届書之写シ
未五月奥州大峯山御師様ゟ写取
「　」
信濃国大地震届書之写シ
私御代官所当分御預所信州高井郡・水内郡村々之儀者、当
月廿四日戌ノ刻ゟ亥ノ上刻江懸り大地震有之候、其後致
[震動|じんとう]、翌廿五日卯之半刻漸々相慎（鎮）り候処、地所割裂、
（ママ）水順出シ、諸家并人・牛馬死失多、家内不残死ニ退候者茂
有之、怪我人[夥敷|おびただしき]、一村皆潰ニ相成候、追々届出ニ付、
村々茂有之前代未聞之変事之趣、不取敢手代共差出し申
候、尤□屋之儀者別条無御座候、委細之儀者追而可申上候
得共、先此段御届ケ申上候、以上、
但し、此度之儀、地震信州一般之様ニ而、支配所内々
者出火趣者届出不申候得共、地震最中所々出火相多見
え、本多豊後守居城飯山町城下之儀者、支配所最寄ニ
有之候処、町家不残[震倒|ゆれたおれ]候処、所々より出火ニ而城
下町方皆焼失致候由ニ御座候、以上、
未三月　高木清左衛門印
御勘定所様
高、五万八千三百六拾弐石九斗弐合弐勺
内潰高、四万千弐百八拾六石六斗壱升弐合
家数、六万八百七拾軒之内、
潰家、弐千百九拾五軒
内千拾三軒、焼失拾六軒、土中へ埋
外ニ半潰、七百八拾弐軒
潰高札場、十二ヶ所　郷蔵、二拾弐ヶ所
同堂・宮・寺、四拾六ヶ所　土蔵、三百三拾壱ヶ所
同物置、九拾四ヶ所　怪我人、千四百六十人
即死、五百七拾八人　同牛馬、百五拾六疋
奥州之怪事（省略）
丹波国御届書之写シ（省略）
真田信濃守殿居城信州松代城内住居向・櫓并塀、夥敷破
損、其外家中屋敷・城下町方・領分村々潰家死失人夥敷、
山中筋山腹崩・犀川押埋〆、水湛追々充満、丹波島渡舟
場一丁上り候、
松平伊賀守殿居城、右同断之届也、
本多豊後守殿居城飯山町、右同断、
堀長門守殿居城、右同断、
松平丹波守殿居城松本町、右同断、
榊原式部大輔殿居城、越後之由、右同断、
此届書者西之内五枚ニ而、国々銘々書印候を写取申
候、以上、
（足高・野口益夫家　一六三　状）