[未校訂](この文書は、島屋徳三郎という商人から小松新田(現
徳島市)の藍商鈴屋坂東茂兵衛が受け取った書簡である。
書簡の内容は、相場などを伝える商売上のやりとりが中
心であるが、ここには阿波で起きた地震の記述がある。
冒頭に「当月十七日夜」とあるが、この文書の指し出し
日は四月二十六日で、四月十七日に起きた地震であるこ
とが分かる。阿波国で四月十七日にあった地震は寛政元
年である。この時は、阿波・土佐国境の内陸で起きた直
下型の地震であったようで、記録にはあまり残っていな
いが、この文書では、家宅・土蔵の損傷があったことが
書かれ、場所によっては大きな被害があったことを知る
ことができる。)
(前略)
一 当月十七日夜、阿州表大地震
家宅土蔵等余程相損候趣、則
茂八郎様より御状被下驚入候御儀ニ
御座候、然共御居宅御家内様皆々
御別状無御座候間、此段御安心被下候、
土蔵・御借家等余程相損候趣ニ承り申候、
当地之義も余程地震ニ御座候へ共、
家蔵損シ候程之義無之候、土佐・
阿州別而厳敷有之趣承り申候、
右之段、為御知申上候
(中略)
島屋
四月廿六日 徳三郎
坂東茂兵衛様
(坂東家文書01645)