地震史料集テキストデータベース
[未校訂]（京泉村三郎右衛門覚書）京泉村大塚家文書
嘉永七年寅ノ十一月四日ゟ六日迄東海道筋大地震、伊
豆・下田海岸場所津浪ニ而六分通り流申候、右死人九百
人余
小田原 人家土蔵相潰申候 箱根 六分余潰れ申候
二子山 崩石砂雷の如く、 三嶋 不残潰れ其処出火、
此山之崩れ之音者夜迄天 明神ゟ西へ十軒余、東へ
ニ響き、雷之如くニ聞ひ 二三丁程焼失致し候
申候、皆人〻驚入申候、
十一月五日之五ツヽ半晴
天ニ而之音 原 四、五軒潰れ、出火
なし
沼津 御城矢倉崩れ出火、
同宿不残潰れ ふ（富士）二川 歩行越相成不申候
吉原 不残潰れ申候
蒲原 大半潰れ申候 由井 右同断
興津 不残潰れ其上大津浪 江尻 大半潰れ申候、
ニ而打込大嵐
府中 御城大損し同宿不残 岡部 大半潰れ
潰れ出火致し、大半潰れ
申候
藤枝 田中御城大損し焼失 夫ゟ浜松迄ハ右同様之事ニ
致し申候由、同宿不残潰 御座候、是ゟ西方未相訳り
れ 兼申候、已上
七分通り之焼
江戸大火、内神田ゟ筋貝（違）見附通り、夫ゟ日本橋通り、夫
ゟ東川岸迄吹ぬき申候
（塚田家旧新記録）荒町
嘉永七寅十一月四日 東海道大地震
一小田原人家土蔵等多く潰申候一箱根六、七分程往来止り申候
一二子山崩石砂雨の如く降申候一三嶋残りなく潰其上出火、明神ゟ西へ拾軒余
一沼津御城矢倉崩、御長家潰出火、同宿一原東へ二、三丁程焼失四、五軒潰、出火なし
不残潰 一富士川 歩行越ニ相成申候
一吉原 不残潰申候 一由井 大半潰申候
一蒲原 大凡潰申候 一江尻 同断
一興津不残潰其上大津波打込、大荒之由一岡部 同断
一府中 御城損し焼失之よし、同宿不残潰出火之よし
一藤枝 田中御城損し焼失之よし
夫ゟ浜松迄ハ右同様之事ニ御座候、是より東西へハ相分
不申候
京屋弥兵衛
此外
一下田 津波ニ而六分流失、死人九百人余
一信州松本 五百軒程潰申候
一同 上田 大損し之由
一同 松代 右同断
武州辺茂大地震之由、乍去損しハ有之間敷と奉存候、高
崎辺ハ土蔵抔少〻ひゝ入候事ニ御座候