[未校訂]十三日曇天(中略)
八ツ半時地震。山田お市裸足ニ而逃。母ヒヤリを焼居
候処ニ而有之由ニ而、夫を持なからはたしニ而逃候由。
寺之方ハ余りつよくも無之故、たれもにけす、治代抔
ハ井戸端ニ而不知居候。
十四日、雨天。前夜よりふりやます。御日中大経入斎御
経兼帯。四ツ時御屋敷え御歓ニ罷出候。然ハ上ノはゝ
申ニハ夜前も又候地しんニ而、山田抔ハ大分つよかり
しよし。お岩咄ニ而承候由被申候。四ツ時御屋敷へ御
歓ニ参上序、石川忠助へ歓見舞。扇子壱本。但し弐貫
五百文之品。帰路元適へ見舞。今日市中へ小預り不通
用之事御触有之候ニ付、不残とり集メ小遣とす。尤十
二月廿日限之由。佐太を頼、もち米を才覚、一盃為参。