[未校訂] 公園に包圍せられて瀧安寺(箕面市箕面公園)あり、寺は箕面山と號し、
吉祥院と稱し、天台宗寺門派園城寺末にして辨財天を本
尊とす。本尊 役小角の作と傅へ、江州竹生島・相州江
の島及び藝州厳島と併稱せられて、日本四ケ所辨財天の
一なり。寺傅に依れば、白雉元年役小角の創建にして、
本朝密教最初の法窟、修驗根本の道場なり。(中略)
開基の初めより慶長の頃までは、大瀧の邊にありて、
堂塔伽藍檐を連ね甍を爭ひ、塔中八千坊楹楣相接して宏
壯云はん方なかりしに、天正年中に至りて不幸兵燹に罹
り、次で文祿五年閏七月震災に遇ひて全く瓦解崩落し、
慶長八年現在の所に移轉せり。境内は四千參百貳拾八坪
を有し、本堂・拜堂・東獻供所・西獻供所・庫裏・書
院・籠堂・繪馬堂・寶蔵・燈明堂・四足門・薬醫門・鳳
凰閣等を存す。外に本地堂・戒壇堂・不動堂・開山閣等
あり。