[未校訂]八月卅一日弐百
十日
明ケ方ゟ東南ノ間ゟ風吹出し辰巳ノ風ニ有
之候大ニ気遣い致候看経弐遍奉読奉候心地品も拝誦候(中
略)午後四時地震微震有之候
五時頃ニ至大震に成り前代未聞の激震恐怖狼狽譬るにもの
なし仏檀神檀花瓶転び落家蔵ハ動キ誠ニ恐懼啻ナラズト早
々夜食ヲ給夜中不寝ニ要心致候
九月一日 雨風ノ空也四時ニ起看経弐遍奉読神明様一日ノタ
メ中臣祓ヲ拝誦候テ奉祈念候佐助始皆々共寝間ニ参らす茶
間ニ転寝ニ夜ヲ明シ候得共夜中ニハ激震無之大慶致候
沼田両家へ見舞状并常景院地
震
申遣し候
志閑様へ地震見舞ニ参候序ニ学校へ寄福岡公へも見舞致候
亦々地震ノ取□り早く寺ゟ帰候
同ばん火要心員ヲ寄セ今晩十二時ニ亦々地震揺り候よしニ
付火の要心担当内へ触渡方申会致候同夜沙汰ニ相反し無事
安穏なり
九月二日 四時ニ起例通り
(中略)
菊地豊太郎殿ニ震災有之よし清酒拾石位溢レ捨り候よし蔵
の壁不少落損じ候よし承候
右ニ付八時頃ゟ見舞ニ参候
梅津へ寄なしの鮓ヲ呉候
右之店ニ志田様居り落
(ママ)上様へ地震見舞ニ参候由幸いニ付御同道申上候菊地ニテ損
害ハ沙汰ノ半分ニも無し溢レ候酒ハ壱石四五升蔵の壁も浮
り候処有之候
(中略)
地震ノ中心ハ仙北六郷のよし九分通り潰家人畜ニも多分死
傷共有之候よし判断候
(中略)
新聞始テ地震ノ報道有
十月廿二日
(中略)
同ばんハ七時ニ大地震揺り四十年位前ノ地震ニ等敷候
鴨居一ケ処前ノ間
弐枚襖
落ツ候位なり