地震史料集テキストデータベース
[未校訂]（注、〔応響雑記〕十一月十六日の項と同文につき省略）
昨五日酉ノ上刻又々大地震有之、震動相鎮候後何くともなく
雷鳴ノ如く響き渡候故、如何之義ニ候哉と恐怖罷在候処、同
暮（ママ） 半時ゟ五ケ度海手ゟ洪浪打寄、両川口ニ滞罷在候大船共
悉く碇繩引切、川々江押登り、浜手棧作りの人家夥敷破損仕
候、尤前々地震ニ恐レ銘々小船ニ而川中江逃居候者共、右之
洪浪ニ而大船押登り候故不残大船ニ押レ、死人何千人共数不
知、今日ニ到り死骸相求候へとも、大船之下ニ敷れ求兼候様
子御座候、実ニ稀成珍事恐怖至極なり、大船ニ押流落候橋々
左ニ記
安治川橋 亀井橋 住道頓堀ニ而吉橋 汐見橋 幸橋 日吉橋 水堀江ニ而分
ケ橋 黒金橋 高長堀ニ而橋
右之通不残押流シ申候此外小橋之分所々数不相知
十一月六日夕
右会所奉行ゟ指上候事
一昨四日辰半刻駿州大地震ニ而、駿府御城代初御小屋不残
潰、市中火事出来、御城も破損不少由
一下田表大地震、其上大津浪ニ而市中七分通流失、湊ニ繫有
之船不残行方不知相成候由
一筒井殿始被相越候御役人旅宿流失も有之候へ共、立退ハ無
難ニ被致候由、川路殿ハ具足道具類流失致し候由
一侍分之者ハ先ツ無難之由、下々ニ到候而は怪我も有之様子
未相分不申由ニ御座候
一魯西亜船ハ無難ニ罷在候
右之通風説承候間申上候事
十一月六日
一去ル四日辰之半刻下田表地震津波ニ而市中流失いたし申
候、御用金も流失ニ付昨日御用金二千両并御兵粮共江戸ゟ
御廻しニ相成候由ニ御座候
一ヲロシヤ船ハ先無事之様子ニ御座候
一同所ニ兼而出張之大田摂津守・大久保加賀守人数者行衛相
知レ不申由御座候
一諸役人筒井始メ山手江致立退候得共下々ハ行衛相知レ不申
由御座候
一応接ハ下田表へ仮建物ニ而いたし候由御下知有之候由ニ御
座候
一駿府甲府も大地震ニ而御城破損市中出火と申御注進斗ニ
而、委細は相知不申候
但三島駅不残潰れ申候由
（
注、〔御写物〕と同文の榊原越中守（十一月七日）及び
水野出羽守（十一月四日）届省略。その他諸国被害
報告など他出するものも省略
）