地震史料集テキストデータベース
[未校訂]（表紙）
「 安政四年
蝦夷地
御用留
モンベツ
御用所 」
以書状啓上いたし候、然は去月廿三日東蝦夷地ウラカワ
ニおいて、地震後津浪ニ而難破ニおよび候船之内、場所
詰見分済之上、大坂下馬喰町有田屋重蔵船沖船頭喜三郎
増水主共拾壱人、大坂喜八船江乗組出帆承届候[而ニ而|ノミニテ]、
当所沖之口江相越候処、浦証文請取不申候ニ付、当所ニ
而請取度段願出、如何ニ茂不都合之次第、彼地ニ而破船
見分いたし候詮も無之、左候迚一端出帆被申付候もの引
返し遣し候訳ニは難相成無余義別段之御評議相済、此度
限当所より浦証文相渡出帆申付候得共、一体場所々々詰
合兼而心得居不申候半而は不都合之儀ニ付、別紙浦証文
案及御達候、乍去其次第ニより敢而案文ニ泥ミ候訳ニ無
之、臨機之取計は勿論之事ニ有之候間、御持場内夫々御
通達可有之候、此段可得御意如此ニ御座候 以上
月番鈴木孫四郎印
九月七日長谷川儀三郎様
水野一郎右衛門様
須藤甚之助様
佐藤桃太郎様
磯村勝兵衛様
差上申浦証文之事
大坂下馬喰町有田屋重蔵船沖船頭喜三郎水主共拾壱人乗
之儀、箱館沖之口御番所おゐて、間尺御改之上正味四百
弐拾石八斗壱升七合ニ相成、東蝦夷地ウラカハ御場所産
物為積取、同所受負人萬や専左衛門雇船ニ成、当六月廿
一日箱館出船、同廿三日御場所着、昆布凡弐百石目積入
候、折柄同七月廿三日大地震引続津波ニ付、一同驚入持
合之綱碇ニ而繋留候得共、忽張切岩石江被打揚、如何共
可引卸手段無之、無拠其儘ニいたし置候処、次第ニ浪ニ
たゝかれ船底所々破損洤（泉の古字）之道出来候付、精々汲取候得共、
何分ニも難汲果、翌廿四日昼頃[終|ツイ]及破船、昆布は不残海
中捨相成候得共、乗組一同無難ニ上陸仕、船具は御会所
ゟ番人幷夷人等助船差出、不残手取ニ仕厚御世話ニ相成、
難渋相凌候段奉申上候処、今般御出役ニ付、私共立合被
成御見分候処
一昆布何程 積高不残
此目方何程海中捨り
此石何程
船具無難之分
一檣 壱本
一桁 壱本
一楫 壱羽
一帆木綿 何反上
一碇 四頭下
一綱 何房
是は大坂之喜八船江積入箱館迄運漕之分
右之外走り小道具類は不残海中捨り之分
右之通御座候、乗組一同御吟味之節私共罷出承知仕候、
且当七月廿三日大地震引続津浪之段相違無御座候間、乗
組之もの申立通、全津浪ニ而岩石江打揚、破船ニおよひ
候段、聊無相違奉存候、右ニ付願之上其節参り合居候、
大坂之喜八船江喜三郎幷水主一同乗組、箱館表江立帰候
儀ニ而、右一件ニ付怪敷儀決而承知不仕候、若偽之儀申
上、後日露顕仕候ハゝ、私共一同何分之御咎ニも可被 仰
付候、依之浦証文差上申処如件
安政三辰年八月
ウラカワ
帳役
誰
通詞
誰
支配人
誰
何之誰殿
何之誰殿
前書之通相違無之候 以上
箱館奉行支配調役下役
何之誰