地震史料集テキストデータベース

[未校訂]乍恐口上書を以奉願上候御事
一気賀村之儀本高弐千六百石余御座候処、去年十月四日之
大地震・津浪ニて田畑千七百石余荒地ニ罷成、に今塩引
不申候、少々儀之節茂田地ゆ里さけ弐尺水下ニ成候ゆへ
只今之通ニ而ハ永々荒地ニ罷成、百姓住居難仕飢死より
外ハ無御座候、塩除堤所々水吐箱圦被為遊可被下候御事
一大地震津浪にて新居今切湊ひろくなり、気賀田地荒海同
様ニ汐差引つよく有之候田地荒候趣、気賀中絵図仕指上
ケ申候、先年之通農作仕候様、被為遊可被下候御事
一今切渡海ひろく罷成候故浪荒渡船不自由有之候付本坂越
御通繁御座候而気賀村御伝馬役無御座候、本海道之通御
伝馬、人馬相勤申候、田地大分荒候故者御伝馬、人馬難
相勤奉存候御事
右之通紛無御座候、地震以後汐引候ハゝ元之田地ニ可成と
存一日々々と只今迄見合罷在候へ共ゆりさけ候田地ニ御座
候ヘハ永々荒地ニなり百姓住居不罷成、大難儀仕候、御慈悲
之御返答を以塩除被為遊可被下様　惣百姓奉願上候　以上
宝永五戊子年三月十日
遠州引佐郡
気賀村庄屋惣百姓
近藤縫殿助様御代官
加茂六郎左衛門殿
石野久左衛門殿