[未校訂]地震しずめの石
本郷の武高国神社境内に、[要|かなめ]石という大きな石が石べい
にかこわれておごそかに安置されている。高さは一・二メ
ートル、重そうな石である。
江戸中期の宝永二年(一七〇五)、大地震が起こり、下
之郷では家が二戸倒れ、十二戸がかたむいた。その二年前
の元禄十六年にも、同じような地震のため下之郷で九戸、
保野で二戸、下本郷で一戸が倒れ、生島足島神社の池に張
りつめた厚さ二十センチほどの氷がくだけた。
こんな騒ぎが続いてはたいへんだと、塩田組二十二カ村
のおもだつ人びとはひたいを集めて相談したあげく、地震
をしずめようとてこの大石をまつり、なにとぞ世の中が平
穏になるようにと祈願した。
要石は、[常陸|ひたち](茨城県)鹿島神宮の林中にあるのが有名
で、それにならってまつりあげたわけである。