地震史料集テキストデータベース

[未校訂]一大坂表、當月四日大地震、五日夜五ツ過頃津浪にて、近海
に居候大船小船、皆々道頓堀へ流込、堀江川へも少々流れ
込、長堀にて者高橋、堀江は水分橋、黑金橋、道頓堀にて
は樋吉橋、鹽見橋、幸橋、住吉橋、槇堀金谷橋落申候。幷
龜井橋も落流、五日七ツ時大地震にて、長堀、堀江、道頓
堀近邊人々、船にて逃可申積り、家形幷上荷船茶船に乘候
處、大小船一般に流込候故、船入合大船小船破船は數艘、
水死之人不知數、又は安治川、木津川、兩川口に掛り居候
他國、或は地船共、凡壹萬艘許之内、貳千艘は無難に御座
候。其餘は大半怪我船に相成、死人七千人許、誠に目も不
被當有樣にて言語に難申盡候、沖に居候樽船、菱垣船は、
仕合能皆々無難に御座候。
一兵庫邊は無難に御座候。尚又河州、紀州熊野邊、（衍カ）は又は伊
勢路は桑名、津、松坂、山田、□波邊、地震寄、潰出火之
場、多分に御座候。
右は大坂懇意之店方より、四日切に早便に申送に付、御通申
上候。
別紙
西國筋　廣島、
去四日辰刻より大地震、五日申の刻同斷、四日、五日、六
日迄廿五六度もゆり、其餘は數不知、往來はし、皆々落る。
九州路
豐州小倉、五日申の刻夜中震動、六日晝迄五六度も、七日
又々大地震殊に烈敷、所々家潰れ、怪我人、死人數不知、
肥後　肥前、筑前、右同斷に相聞、殊豐後鶴崎、同日大地
震、人家過半潰れ、死人、怪我人數多有之候よし。同府内、
同日大地震、人家四ケ餘崩れ、死人、怪我人（等カ）不有之、同府
中同斷、豐後火國大荒、右之通九州路一圓に大荒。中國路
防、長、安藝、三備、播磨、同樣之由。
右諸方委敷事相分り不申候、追々後便に可申上候。
十一月十二日
右之通り、大坂十二日出（にてカ）ゟ申來候間、申上候。
十二月十八日