地震史料集テキストデータベース

[未校訂]十五日　上方筋地震
京橋は曉丑刻前より地震強く、其後度々動搖有之候に付、御
所御庭御假屋を補理の内近衞殿亭へ被爲、渡御座所出來の上
地震も先鎭り候に付、巳半刻頃如元桂皇居へ還幸。准石敏宮
御方も御同樣御座、新待賢門院御方御座所御庭向甚御狹少に
付、正親町家に被爲渡。翌十六日午刻より未刻迄大に震、夜
に入八時頃大雷雨、加茂川急出水なり。大津邊地震別て強く
怪我人死人等數多有之。同廿一日迄晝夜度々震。
十五日南〓大地震大雨、春日社其外末社破損有之。石燈籠千
七百基轉倒、五十基計無事也。
昨十三日の夜熱田宮御託宣に、十五日夜四時より七時過迄別
て可震と、誰申共なく申觸候。仍て女子老人子供多勢神殿又
は樂所の庇廻廊等へ群集す。其故か此邊無別條。此外地震強
き所ハ第一伊賀國、出火有之、第二大和國、第三伊勢四日市
邊、第四大津石山邊、第五越前、第六江州宇治信樂邊、第七
庄野龜山石部坂の下邊、第八神戸白子桑名邊、第九松坂邊、
第十山田邊、此外尾張參河及び播州邊迄なり。