地震史料集テキストデータベース
[未校訂]○氏ハ丹波島ノ手習師匠タリシ人ニテ、松代藩初度
ヨリ十二度ニ至ルノ届書、其外諸家ノ届ヲ蒐録シ、其
末ニ災後課業甲諭大意ヲ副ヘタリ、他ハ已ニ諸書ヨ
リ採録セシヲ以テ、今最後ノ一章ノミヲ掲ゲタリ、
松代災後課業申諭大意、
昨年未曽有之大变にて、御領分一統軽重は有之候
へ共、多分災害を受け、如何許艱難辛苦いたし候
事、絶言語候次第、御上にも深く御哀憐に思召、
御手充筋如何様にも行届候様可取計旨被仰出、夫
々御手充有之候へども、壱人壱家に取候ては、為
差儀にも是なくて、多勢の上にては微塵積りて山
を成すごとく、去壱ヶ年之御手充御収納御引方等
交々では、莫太至極之御入用成る事は、銘々にお
いても能々可相辨候、尤公辺御拜借も有之、又出
格之儀を以て、川添御普請も出来に相成、其上御〓
の金穀は勿論、請所より多分の御拜借金等にて御操
合せ、去暮は何と欤御间に合、当春とは相成候へど
も、猶此上迚も変災村々家作等初、荒亡の田畑元形
に復し候迄は、御手充御引方等も不被成下候而は相
成间敷、然る処最早御他借金、御返済方者不及申、
御利分許にても不容易事にて、逼止之御差詰候へ共
一統昨年之凌方御氣遣被成下候程之折柄、御用金も
被仰付兼、当惑之時節に付、此上出格之御趣法無之
候而者、御手充筋不被為届候事に付、於村々茂格別
に心懸候儀は勿論に候へども、大災村方等は、実以
自力に難及候へば、壱人一家の手段而（にて脱カ）已者、御郡中
元形に復儀は行届间敷、仍当年ゟ向子年迄五ヶ年间、
前々之休日可成丈減べく、又災害の軽重に不抱、壱
ヶ月一日宛を以て御奉公と定め、一家内より一組一
村と申合、御郡中一致に相成、男女共十八歳以上六
十歳迄、一日男は百文、女は参拾貮文之当を以て、
何品に限らず致手稼、鳥目に成共、稼ぎ品成共、月
々上納可致候、猶災害重き村々者、御救方可被成下
に候、是災变に而は、其身非業之圧死に至り、或は
親を失ひ、子に後れ、兄弟親族に別れ候類、かぞふ
るに遑あらず、不幸之至、絶言語候事共之中、連能
く死亡危難を免がれ候者、誠に幸之儀、殊に変害軽
き村方は尚更の事、何れも天道之冥助、神佛之加
護をもぞむじつき、且は死亡之ものをも思ひやり、
其上第一御上に於ても深く御心痛之折柄に候へば
銘々御領分御取復し御手伝仕候志に相成、二百年
來御領内に相続き罷在候御厚思を奉報候時節に（とカ）心
得、御奉公曰、如何様にも出精上納方（方ノ下、脱字アラン）、災軽き村
方にても其次第に寄、御手充茂可被成下、五ヶ年
無滞積立成就の上は、夫々御褒美可被下置候、尤
片輪者、其外長病、又は奉公稼にて相勤兼候もの
は、申立次第糺を経、免許可有之者也、
伹十八歳以下に而茂、志次第、何成共課業相
勤め候へば、奇特之事に候、
嘉永元戊申年五月
男三人、女二人、壱ヶ月、銭三百六拾四文宛、
嘉永戊申年五月ゟ、八ヶ月分、
同巳酉年四月、潤、十三ヶ月、
同三庚戌年、十二ヶ月、
同四辛亥年、十二ヶ月
四拾五ヶ月、
此銭出辷、〆拾六貫五百文、
両替六ツ、
為金貮両貮分と五百文、
右平藏上納辻、
嘉永元申年五月ゟ同四亥年十二月迄、四拾五ヶ月、
丹波島村中課業上納辻、合七百参拾九貫三拾二文、
両替六ツ、
為金百拾参両三分参百三拾貮文、