Logo地震史料集テキストデータベース

西暦、綱文、書名から同じものの一覧にリンクします。

前IDの記事 次IDの記事

項目 内容
ID J0300338
西暦(綱文)
(グレゴリオ暦)
1804/07/10
和暦 文化元年六月四日
綱文 文化元年六月四日(西暦一八〇四、七、一〇、)羽後兩國、地大ニ震ヒ、本庄城波頽破シ城下及ビ領内村落潰家五千五百ニ及ビ山崩レ、加フルニ津浪ノ襲來アリ、死者三百三十三人ヲ生ズ、象潟ノ海底、隆起シテ平地ト爲レリ、
書名 *〔東野某抄錄〕○鶴岡
本文
[未校訂]文化元年甲子六月四日亥の初刻に大地震いて堂社
佛閣大に痛みしとなり、人々皆老を扶け幼を携へ外
面へ出て地面に莚を敷くあり又は戸扉を敷くあり皆
人外面に夜を明せり、此夜の景勢は晴れともなく又
雨ともなく□々として四方雲ともなしに薄暗く風少
しもなく、行燈をともして少しの障りもなく、煙草
の煙など真直に天に登りしとかや、川北○今ノ飽海郡、東西田川郡ヲ川南ト云フ、
は實に甚つぃき由なり、又田川郡も新堀○最上河岸には潰
家あり、廣野邊○新堀ノ西隣は佛閣民家大に潰れたり、飯
盛山○廣野ノ西方最上川ニ臨メル一ノ砂丘ニシテ北方川を隔テ、酒田ト對ス、は北の方絶頂より最上
川へ突き出てたりと云ふ、此地震は南へ寄る程漸々
弱くして、鶴岡邊は強かりしも左程にあらず、三瀬
邊○鶴岡ノ西方沿岸は廿五年以前の子年の地震よりは却て弱か
りしと云ふ、されど山の鳴るとは恐しかりしとぞ、
北濱邊○地名ニアラズ、北方海濱ノ意ナラン、は潮大に引けれは、是は津浪が
來るならんかと野へ出てたるを呼び集め老少を労り
抜け村々砂山へ迎へ出てたり、是を聞き川南なる押
切、福岡、横山邊○共ニ廣野ノ南方ニ當リ酒田ヨリ鶴岡ニ達スル縣道筋ニ沿フ所の者共飯米、
鹽、味噌を以て羽黒山の麓業ごうの浜と云ふ所へ走り、
男女數千人の集りをなせしかば、羽黒山より役人を
出して扱はれしと云ふ、羽黒は強しといへとも、堂
塔の潰なく只石燈籠宝燈の倒れしのみ、余目○新堀ノ東南ニ當リ山
形街路ニ沿フ所、邊にては、松山○今ノ松嶺、最上ノ海岸ニ沼ニ酒田ヲ距ル約四里、へ迯けたり、
斯の如く家にも入らず、三日三夜只念佛の聲のみして
最とも哀れなりしが、同七日の四つ過より南風大に
出てたりしを以て、風あれば地震なしとの事故、皆
々大に安堵せしとなり、されど八日程の間は地震の
氣ありたり、此等は川南の事なれば左程にもあらぬ
が、川北は實に目も當てられる様なりとぞ、鵜渡河
原邊○酒田ノ東南端ニシテモト士族屋敷、は潰家七軒許、半潰數を知らず、
土は大に裂けて扉に乗りて難を外面に避けしもの扉
と共に穴に入りしが、漸々這ひ上りしものありしと
云ふ、其御城の土手○所謂亀ヶ城ニシテ庄内公城代ヲ置テ之ヲ管ス、鵜渡河原ノ北酒田之東郊ニアリ、
は御堀へ突出し堀を埋めて街道と平坦になりしと云
ふ、追手の御橋は中より折れ、御作事小屋等は皆潰
れたり、城中の家々役所は不殘潰れて御樓も亦痛み
たり、河岸の家は潰家少なかりしも、津浪の爲めに
大破あり、内町、米屋町、濱ノ町、山王堂町、鶴田
口、新地町邊は大に潰れ立家稀れなりとぞ、本間の
宅は翌五つ頃潰れたりしと云ふ、而して地震の際に
は井水抔は水鐵砲を見るが如く一丈余りも吹出し實
に不思議なりといへり、味噌桶などは二三尺斗も土
中へ埵込み白米は水に流れ、焼木○薪、衣装の類は水
中にひたりて難義云はん方なし、水は翌日殘らず引
けるを以て稍安堵せりと云ふ、酒田の潰家千三百六
十九、土藏百七十八、死者十人、半潰數知れずと云
へり、
平田、荒瀬、遊佐○飽海郡ノ郷村、酒田ノ乗降ヲ平田、平田ノ東隣ヨリ山地ニ至ルモノヲ松山ト名ク、荒瀬ハ酒田、
平田、松山ノ北部ニシテ更ニ其ノ北部鳥海山ニ至ルモノヲ遊佐ト稱ズ、等東山岸より一里或は一里
半西方の村々大に破損せり、日向川○荒瀬、遊佐ノ界ヲ流ル、吹
浦川アフレ遊佐郷邊は流れたる家も多かりき、吹
浦此際出火して人馬の倒れしもの多し、瀧の浦、
島崎村○鳥海山ノ〓麓大に變せしが、女鹿村
三崎ノ南〓は炎なし、岩寺○今ノ藤岡丸子○以上遊佐ノ村落 荒田目村邊○荒瀬ノ
一村落、今ノ本橋村、は大に破損せし由なりき、酒田山王の記宣
に大津浪來るとありしかば、皆聞き傳へ、矢流川
村、市條村、高尾山○共ニ荒瀬郷ノ村落、東方山地ニアリ、へ逃亡したる
もの多かりしとぞ、凡て此地震の爲め潰れたるも
のは酒田家數千三百六十九軒、土蔵百七十八、死
人十人、平田郷四百五十軒、死人六人、荒瀬郷八
百三十三軒、死人廿九人、馬八頭、遊佐郷千四百
六十八軒、死人五十人、馬百三十四頭。米屋町二
百十五軒、寺二ツ其他宮ノ浦、黒森村十五間村、
廣野新田村等○以上川南ニ属シ酒田ノ對岸ニアリ、潰家あり、松山邊は強
しと雖も潰家なし、
出典 増訂大日本地震史料 第3巻
ページ 164
備考 本文欄に[未校訂]が付されているものは、史料集を高精度OCRで等でテキスト化した結果であり、研究者による校訂を経ていないテキストです。信頼性の低い史料や記述が含まれている場合があります。
都道府県 山形
市区町村 鶴岡【参考】歴史的行政区域データセットβ版でみる

版面画像(東京大学地震研究所図書室所蔵)

IIIF Curation Viewerで開く
地震研究所特別資料データベースのコレクションで見る

検索時間: 0.002秒