[未校訂]ひきかへすためしもあらて年くれぬ、あたゝら真弓
春ちかきまて、うまの貝うくころ、やもたふるはか
り、なへふり出てけれは、ありとある人みな、くつ
もふまて高雪のうへににけのほり、聲とよむまて、
まんさいらく/\のみなとなふに、舟なとの浪にた
ゆたふかことく、許かたふき、ひし/\と鳴うこき、
雪もうこもちてやみぬ、こゝらの人いきつきもあへ
す、又なへして、ひねもす、よひと、夜ふりたり、
いかならんとか、○以上十二月二十八日ノ條
廿九日、けふもをやみなうなへ、とさ/\頻なり
人のこゝろさらにおちウゐす、たゝ、にけやうゐのみ
そしたりける、
三十日、夕近く雪の中に朳エフリすり、久波、かいしきも
て、山なす雪をかいならし、門松立るほと、なへふ
りて、くれ行は、みたまに飯奉るころ童とに出て、
門角の雪のうへに、糀の皮に火ともし出て、まつと
し、又にきぬ、
(武者註)右ハ著者真澄ガ陸奥國田名部滞在中
ノ記事ナリ、