地震史料集テキストデータベース

[未校訂]一信州淺間、六月末より少し宛燒出、近辺へ灰を吹飛し、七月五日夜亥刻計より、大地震の様に鳴動致し、麓近くハ勿論、上州高崎辺へ夥敷小石砂を降し、六日朝、五寸計降積し、六日朝より天氣晴、又暮六時より降出、七日ハ一日向夜の如く家毎に火を燈し、往來ハ〓燈を灯し申候、七日夜降通し、八日午刻九より泥雨に成、火石を飛し、高崎並松井田辺、殊に甚敷く、小家抔は崩れ、野辺之作物、石泥に埋り青葉一ツも見え不申候、
一右淺間燒候故に〓哉、上州筋七月八日に地水湧出、泥水山之如く一面に押出し、北水流る、人家夥く利根川へ流込、草津坪井村より、牧之関迄之間、凡十里余之間之村々、過半流失、人並牛馬の損亡夥敷、多分ハ家共に流れ候故、死骸も殘り不申、依之死人之敷脱と相知不申、牧の関所も流れ、質政の関所はとくと不知、福島五料関所流れ、右川通り、船付川岸不殘流れ、船も大方流れ勿川筋田畑流れ、或は地形低所は埋り、忽面坂本より道筋、〓津沢宿之間、一向に損し、通路晢る、坂之牧野遠江守、小笠原相模守、板鼻宿より、松井田辺に数日逗留、諸向飛脚者も同断、
一行徳河岸に死人夥敷流懸り候故、其辺の寺方より〓を被せ回向致候、其數凡そ五百枚計遺ひ切候由、其死人或ハ首無し、或ハ手足無きも多く候由、其跡ハ如何成候哉不知、行徳川ハ校川故大川筋へ流候死人ハ嘸夥敷かるべく候とも、其數は不知、
一淺間山根方、村々、上州吾妻郡辺
蒲原村、凡そ千人余之内、男女漸く十七人殘り、其外は流失、其村は火石落燒失
大松村、是は民家半分流失死ハ數不知、
中根村、羽尾村、草原村、松木村、
右四ケ村不殘流、人牛馬同断員数不知、
矢倉村、岩下村、川戸畑村、横尾村、松尾村、
右五ケ村皆流失故隣村蒲原村より訴、
坪井村助右衞門と申者ノ土藏一ケ所殘無外之家并人馬牛共悉流
長野村、一羽村、川戸砂村、小戸村、小家戸村、川戸村、原多村、
右之村々用附之方不殘流一向不知、
三路村高千五百石余、内五百石人水押五七十軒流死十七人爲ハス
〓砂降之所五尺より壹丈余、
右御代官原田浩右衛門方へ訴之趣、
草馬郡川島村
民家百五十三軒之内六軒殘其外流失、
人馬牛不殘流様子不知、
祖馬村、小の手村不殘流様子不知、
牧関所不殘流失役人より御証文を首に掛ながら流死の金井村砂入、此外川時村何名民家田畑問う少宛ハ流失、死人等も有之由に候得共、委儀ハ不相知、死人之高、色々に申せとも、多分流失にて死骸不知其上一ケ村が〓流れ候村々多く候へハ、此分は一向様子不知何れも万を以算ふべし、