地震史料集テキストデータベース

其夜ハ慶長元年七月十二日之夜也、大地震ゆり候事、二百年三百年にもか＃る例不承、大地震逾月不止、洛中、伏見、大坂は不及言、五畿七道○言経記ニ近江国ヨリ関東ヘ、地動無之云々、当代記ニ此地震、、関東駿河遠州何モ東ハ不動トアリ、、本書五畿七道ト曰フハ、誇大ニ失セリ、、悉ゆり申候、就中五畿大分ゆり候て、京、大坂、伏見、其外在々所々の家、一宇も不残たおれ申候に付て、おしにうたれ死するもの、いかほど＃云数を不知、其夜清正則起上り、てこ共つかい候三百人召連、何れもてこを持せ、御城へ出仕候て、太閤も不断之御座之間を御出有て、大庭へ被成出、御敷物を敷、幕屏風などにてかこい、大てふちんをとぼさせ、せうぎに腰をかけ、広庭に御座候、そこへ清正つと被参候得ば、太閤、政所様、松之丸様、高蔵主、其外御上臘之衆之声聞へ申候、はや御出被成たると、清正も悦、高蔵主々々々と清正被呼候、誰ぞと被答候時、加藤主計頭清正是まで参候、大地震おびた＃しく御座候条、上様をはじめ、各おしにうたれ候て可有御座と存、参候てはねはづし可申と申ひ、てこのもの三百人に、悉くてこをもたせ参候通、太閤様へ被仰上候得と被申候、其声を太閤、政所様被聞召、扠々はやくも参りたるものかな、気の付たるいきものにて候と、太閤被思召、政所様も清正をば御懇に御座候により、御嬉しかり候云々、