地震史料集テキストデータベース

瓜生島道場
府城之北一千九百余歩在瓜生島累世之住民植木氏深信弥陀欲成道場永正六年七月付商船到大坂謁本願寺之実如上人剃髪、成弟子名道正歓喜帰本国与瓜生島之民人相議曰之府主蒙許命於瓜生島営道場佳之俗呼云瓜生島道場。
大地震
慶長元丙申閏七月十二日七ツ時諸国大地震当国府内従巨海至三時神社仏閣大小民屋多流去于中同慈寺薬師堂一宇存之又勢家村二十余町北（ニ）有村名瓜生島或云沖ノ浜東西三筋（ニ）成町農工商漁人住之今日此島悉沈没海底不溺死者纔（ニ）七分（ケ）壱漸流家或（ハ）浮木漂器（ニ）取付免死者有之彼島及府内等民人死亡者凡七百八人云。
威徳寺
地震洪波沖（ニノ）浜道場之本尊画像漂没（ス）矣僧侶周安夢（ニ）有一僧告日本尊今有干海岸周安求海辺則得焉新（ニ）沖（ノ）浜（ニ）建道場置本尊曰威徳寺
法専寺
此寺元有瓜生島町此時破壊営沖浜遣場之西辺（ニ）一宇名法専寺。
瓜生島天神
祠有島之地洪波後流来勢家村ノ地即安置春日之境内。
長浜社
長浜大明神神殿流来春日地（ル）因之境内安之。
本願坊
府中本願坊破壊（ス）受許命移勢家村。
〔瓜生島地図別掲〕
瓜生島久光島之考並地図
従古当（テ）豊後国大分郡速見郡之海上（ニ）有洲嶼名瓜生島属大分郡笠和郷久光島属速見郡朝見郷
慶長元丙申歳閏七月十一日十二日天下大地震
豊後の国殊に大地震山崩（レ）川溢四極山木綿岳鶴見山霊山山等山頭巨石悉落大地（テ）裂十二日申の刻（ム）止人民安心（ス）
此時十一日十二日の驚動筆紙に尽し難し時に一人の老翁白馬に乗て馳廻り告て曰ク此島今崩るるゆへ早く陸地に船を押て立去レと高声に触歩行（フレアリク）或人曰此翁は当府の宗廟春日大明神也と又或人曰此島の住吉大明神なりと于時島長勝た馬に乗りて今明神の告ぞ早く立退き可申遅滞せば神託に背くの罪ありと島中を走り廻り島中の老若男女周章一方ならず思い／＼に陸に立去る、島中の人半は死シ半は生ル位歟。右慶長元年瓜生島崩也
翌二年丁酉九月廿五日豊府日記ニ曰慶長三年七月廿九日より大雨廿九日まで鶴見岳東北の澗（タニ）より水溢（レ）出（テ）近村山里大河の如し此時久光両村流没す、死者四十余人。
慶長元年二年と打続きたる天災たり、今の沖の浜町はもと瓜生島に有之、右之島没して後沖の浜辺へ島より遁上りたる人々相集りて家を興し旧名をつ甘たるものと見ゆ。
瓜生島図（豊陽古事談所載）
又今の沖の浜は大地震の節瓜生島沈没するほとの事故土砂のゆれ集りて出来し事も可有之歟。
瓜生島三社天神後年移春日大明神（ノ）社内（ニ）于今在之、曰瓜生島天神（ト）
又別府浜脇生石駄原勢家沖（ノ）浜（ニ）島上（リ）之家多矣。
又旧社四所、新社一所、道場三所、館一所村里十二ケ村、町壱所　村十二ケ村共（ニ）其名不詳可考。
、瓜生島久光島之考終、
于時安政三丙辰夏六月既望　豊後国＃＃海上万年山主舜堂仙玉写、