地震史料集テキストデータベース

文政十一戊子年十一月十二日朝辰ノ刻大地震ニ付本地廿七軒、新田拾弐軒、都合三拾九軒。家数寄崩し、其外皆半徒ふれニ相成、即死三人、軽我人拾人斗。当寺御堂七八寸南方江相傾き、庫裏西南江五六寸相傾き、柱四五本堅しげ、戸障子大概相砕け、内陣前机微塵ニ相成、其際いたみもの難筆紙尽。此略。扠河辺突崩シ川ニ入リ、又ハ畑口弐尺位ニ相王れ、青砂河また吹出し、江中之魚岡江寄り上ケ、目も何者難□風情ニ御座候。乍去当寺御本堂并ニ御宝物無御恙御奉供仕、七日余小屋之中ニ御安置申候。扠又三条寄崩し即時ニ大火ニ相成、御坊所徒ふれ出火いたし、御本堂御宝物不残御焼失。誠ニ愁嘆際限無御座候。死人百五拾人余。其有様者風火地震一時ニ相起リ世界之滅ぶる時似たる也。亦者地獄之体相も斯也。何んや胆魂消怒る斗り。誠ニおそろしといふも言語絶し、十二日より廿八日迄昼夜地震よ里々々ニ来り、夜分水中ニ七日斗臥者な里。皆小屋を新ニかけ夫ニて相臥申候。委細筆紙ニ尽し難く十か一分相書印、後代之所見ニ相そなふるものな里。以上。
○本史料は田中康子「江戸中期以降における小高・佐渡地区の災害について」（『燕郷土史考』五号、一九七三年）に収載されている。徳蓮寺は小高村にある浄土真宗寺院である。