地震史料集テキストデータベース

佐州羽茂郡小比叡山
蓮花峰寺住持
恵教
御書院ニおゐて御奉行被仰渡候
小木湊之義去十一月十五日〓之内潮干潟ニ相成津浪可致と一同驚候内地震ニ而民家震潰即時ニ及出火多分之類焼ニ而焼死人変死人等有之所之者共山野等江逃迷ひ候内百人余茂近村之儀ニ付蓮花峰寺江便り罷越候処同寺茂地震ニ而及破損ニ付境内江萱菰を以雨除補理右人数入置同月十六日夕より十八日迄右之者共江粥差出其外小木番所附役人共を始山野ニ仮小屋補理罷在候もの一統江茂十七日より十八日夕相川表より出役之もの同所江罷越候迄之内粥焚出し多人数之飢を相救ひ且前々より仕来ニ而同寺御朱印寺領之内は御用村継人足等不差出候右変事之節相川より小木湊江出役之者通行并御用物等継送候節大切之儀ニ候間持送人足不足にも相見江候ハゝ加勢ニ罷出聊差支無之様可致旨寺領百姓共江申渡差出其外小木湊番所并役家等焼失ニ付当然用具差支候処心付ケ差遣シ右急変ニ付種々厚心を用ひ候段御老中方江申上候処万端取斗方行届寄特之義ニ付其段可申渡旨今般牧野備前守殿被仰渡候間申渡之
亥二月 申渡
小木町
安隆寺住持
病気ニ付　　　　　　　　日厚
於御（ママ）戴評所名代　　　　俊応院
御奉行被仰渡候
光善寺住持
順了
神明別当修験
明王院住持
善応
西入庵
堂守
浄善
小木湊之儀去十一月十五日〓之内潮干潟ニ相成津浪可致と一同驚候内地震ニ而民家震潰即時ニ及出火多分類焼ニ而焼死人等有之所之者共逃迷ひ山野ニ囲ひ茂無之罷在候もの多分有之処同十八日俄ニ大雪ニ相成ニ付出役之ものより町役人江申渡安隆寺光善寺明王院西入庵右四ケ所江雨雪凌之ため住居向并寺中堂社江呼入させ候処光善寺明王院并西入庵堂守山野江罷出大勢之もの共呼入安隆寺儀は尤僧殊ニ病気ニ候江とも寺内迄罷出世話致其方とも貯置候味噌醤油菜干葉薪等迄右之者共江遣シ候旨無相違相聞奇特之取斗ニ付褒置 小木町
町年寄
藤村与三右衛門
右同断
其方儀去十一月十五日之地震急変ニ而殊ニ立之侭ニ相成さし当住所茂無之所出役之もの共差遣候節途中迄出迎ひ焼場所其外案内いたし焼死人変死人取調夫食渡方等之儀ニ付昼夜とも出役之もの旅宿江相詰罷在殊之外出精相勤候趣無相違相聞ルニ付為褒美金三百疋遣之 組頭衆
小木町医師
秀庵
右同断
其方儀去十一月十五日小木町変事ニ付市中病気之もの江御救として調薬申付其後猶又御役所より薬品差遣し病人薬用之儀出役もの江願出候度々容体為見届調薬為致処日々病人容体をも見届深切ニ療治いたし遣し其上最初調薬為致候薬種代相渡処其方儀は類焼茂不致ニ付施薬ニ致度旨雖申之左候而ハ御救之廉茂不相立間其段出役之ものより為申聞相渡し右ニ付御役所より遣し候薬品調合為致候骨折料右施薬之願茂有之事故不差出候処右調薬等骨折相勤職業心懸宜趣無相違相聞寄特之事ニ候依之出入医師格申付ル
右之通可被申渡候
亥
二月
享和三亥二月廿九日被仰渡 申渡
河原田本町
医師
立恭
其方儀河原田町ニ而ハ旧家ニ而出入之者多ク有之処去十一月地震之砌一統難義之体難見捨ニ付出入之もの十三軒之人数五拾人余其方宅江引取数日相育ミ町内貧窮之者共江も飯米等施し相救ひ且其方茂先年上京いたし医学相励帰国後医業相進ミ郷中療治方出精いたし覚悟も宜趣無相違相聞奇特之事ニ候依之出入医師格申付ル
右之通可被申渡候
亥三月
河原田本町
銭七貫文宛　　　　　　　　五兵衛
六兵衛
銭五貫文ツゝ　　　　　　　源右衛門
秀次郎
又兵衛
弥兵衛
右同断ニ付御褒美
三月廿一日被仰渡