地震史料集テキストデータベース

十月廿六日八ツ頃大地しんより申候、尤空の景色ハ雨風ふり申候、北南とより申候、仙内土蔵かた平間壁落申候、神馬沢村作右衛門土蔵三ぼふの壁落申候、浜辺ニ而ハ尤大津浪より来申候、岩川村ニ而ハ稲迚取レ申候、波渡小波渡ニ而ハ猟船皆波ニ取れ申候、早田村ニ而ハ四拾軒余つぶされ申候、湯の浜の湯治人湯坪ニ而七八人いきむめされたり、浜温海村の町中ニ船うちあケられ、鼠ケ関の弁天様ののしたて皆うちをとされ申候、御番所家山のきハつふされたり、辰年稲苅数ハ、千五百八拾束苅申候、作徳米拾五表弐斗位也、餅米小米是外ニ四表ハ小岩川村の御蔵米札買申候、直段ハ金壱両ト弐百文宛也、買入申候、九月白米壱斗五升買入代弐貫四拾文也、十一月朔日玄米弐斗五升代三貫三百七拾五文ニ買入申候、十月廿六日大地しん〓少々つゝ五十日計りより申候
村中の人足ニ而御役所の御扶持米田川御蔵〓四拾表外ニ三拾表御上〓極窮之人へ売、田川村〓坂野下村迄の駄賃壱表ニ付百文宛付、坂野下村〓村中之人足ニ而背申候、肝煎元ニ而壱升ニ付百三拾五文売申候、四月〓熊の沢風十二月迄吹通シ雪ふかさ町中三尺斗りあり、夏ニなり候てもはい虫一羽も出不申候、大豆壱升ニ付百弐十文、小豆壱升ニ付弐百三拾文、倅金八年三十三歳也、峠ケのねばの沢山の峠ケのひらニ而、小峰所ニ而堀得出申候、葛の根の丸サ三尺斗の葛堀得出申候、壱背ニ而粉七升斗り有申候
○本史料は、小国村（山形県西田川郡温海町）の史料である。天保年間の凶作のことが記されているが、荘内沖地震が記される記事のみ掲げた。