地震史料集テキストデータベース
（表紙）
「村方模様書 上総国長柄郡和泉村」
御支配所
上総国長柄郡
一、高九百二拾九石七斗五升四合 和泉村
内 高弐石五斗九合 小物成高
東京府迄道法り弐拾弐里
家数百四拾三軒
寺院六ケ寺
右は貞享三寅年天羽七右衛門様御代官之節、田畑御地詰有之御水帳所持仕候処、元禄十六未年村方は海岸附ニて大浪打入、家財被引取、其節御水帳流失仕候、其後享保九辰年地所不分明ニ相成候ニ付願出地押仕、已来地押帳を以取扱申候
一、村方之義分郷ニて都合拾壱給ニ御座候、尤御年貢御上納之義は、田畑米納又は畑永納之給も御座候て、毎給一様ニ不仕候
一、御年貢取扱之義、反取ニて給毎不同ニて御座候、猶又、諸掛り之義も反別割ニて、前々より取扱仕候
一、小物成高之義は、多分百姓持山取結候義ニて御座候、尤浦役、舟役等取結無地高給も御座候
一、百姓持山
是は百姓銘々松木植込薪ニ仕候、年々伐取申候えは、平生小松立ニて御座候、但し持山永御上納仕候
一、当村之義は外村と相違仕、東之果海岸洲崎村ニて、別て大浪立荒場ニて御座候て、不定地ニ御座候ニ付、秋中は不時之大風起り、汐吹入被吹溢候ニ付、刈取之義凌かちニ御座候故、粃米・青米等多ニて米〓至て悪米ニて御座候
一、畑方之義は麦、粟作付申候、但吹抜之村方故、平年共被吹倒、細実ニて外村とは実張相違仕候、
一、溜井四ケ所 但、圦樋
右は村内耕地中ニ有之候へは、残溜井并天水場ニて御座候ニ付、年々浚普請仕候故、前々より給毎普請扶持として被下置候
一、当村之義東之端海中へ出張之村方ニて、東南北は荒海、西ハ川ニて御座候、北は東浪見村浦境より村内字大東崎迄海崖ニて、同所より南、江場土村浦境迄平浜ニて御座候、都合凡壱里程も有之候、尤海岸岩〓不宜候故、連年欠崩候場所柄ニ寄、本田畑亡失仕候分も御座候、右故大東崎欠損し候ニ随ひ、南之方平浜分も自然入込、連年共地狭り難渋仕候而巳ニて、寄洲等は一切無御座候
一、南之方より東え掛り田畑汐除并木少し之場所有之候処、追々欠入被引取、田畑共吹抜之場所ニ相成候故、別て秋中辰巳風起り候節は、耕作不毛ニ相成難渋仕候
一、当村地引網四張 但し水主壱張ニ付凡六十人乗、其外、岡者と唱男女共凡百人余程宛、都合六、七百人
右は当浦之義大浪立之場所ニて御座候え共、漁猟之節浪静候を見合、右渡世相営候、尤一時不定之場所故、右様之節他村より多人数相雇、引付方専要ニ心掛候故、扶持飯米其外雑費等存外相掛り申候
一、浦役船役
右は安永三年御料私領入会田畑共、肥藻草并小鰯等取揚申度旨願出、御吟味之上浦役船役永、御料は御代官、私領は地頭所へ高役永年々御上納仕候、猶又其後弘化四未年小地引運上永御上納仕、御鑑札所持仕渡世仕候、
一、村方之義は田畑不足之村方ニて、燐村々え入込出作仕候て、相続仕候土地柄ニて御座候
右之通り相違無御座候、以上