地震史料集テキストデータベース

[未校訂]十月九日出状写
早序（カ）啓上（ママ）仕候此元大地震後日々天気能候得共地気林雨蒸致雲
ヲ起しなから降る年以今昼夜ゆり止不申一昨夜六ツ半時は余
程強地震其節又々怪我人即死も有之由ニ付諸人甚恐入其上
種々浮説有之世間不穏殊更雨陽気ニ而今朝も大雲昼ゟ快晴大
暖気余之義大地震諸事乱様ニ相成相場も相立不申尤去七日ゟ
浅草御蔵出米有之一旦飯米当用差支ニ付相場通買請候へとも
昨日も続而相渡運般差支へ当買仕候而も入置場所も無之ニ付
日（カ）切と下落仕候今日ニも続而下直ニ被察候仙台米切手なとも
売物出候得共買人無之何れ入余り候迄諸相場本性更ニ無之其
内ニ程々大済気奉始終之処下直之方ニ奉存候尚又替合候得ハ
追而申上候
十月九日
米屋弁七
米屋嘉兵衛様
参人々中
（注、十月九日の米相場。省略）
当月六日出之御状同十五日ニ着仕候扨此度之大地震江戸中
続々出火致家土蔵死人等数不知以誠此度之大へん筆紙ニつく
しがたく乍去拙者宅并ニ親類店内は家土蔵ハ大そんじニ相成
候得共先々一同けがもなく無事ニ御座候間御安心思召可被下
候当分之処は家内不残野ぢんニ御座候今以しづまり不申日々
大こんさつニ御座候丸之内外下町は不残出火ニ而死人数不知
古今めづらしき事ニ御座候先は拙者方安躰ニ御座候間此段
能々御安心可被下候先は取込故御返書迄急キ早々　以上
十月十五日
（注、御救小屋の場所付。省略）
（表書）
「西
急廻文　三拾人
頭取」
廻文
去ル二日夜五ツ半頃江戸表厳敷大地震ニ而御上屋舗潰候之上
御焼失ニ相成乍併　上々様御怪我等茂不被為在益御機嫌能被
成御座候段申来奉恐悦候　御家中之面々も先御怪我等無之趣
ニ而此段一様為安堵申達候
十月六日
右之趣御元〆衆ゟ被仰渡候間為御知申上候早々御順達可被成
候様御頼申上候留ゟ惣七郎方迄御返し可被下候
三拾人
頭取
大山次右衛門様
早川休（久）右衛門様
岩月藤左衛門様
廻文
去ル二日夜五半時頃江戸表厳敷地震ニ而御上屋敷潰候之上御
焼失ニ相成乍併　上々様御怪我等も不被為在益御機嫌能被成
御座候段申来奉恐悦候御家中之面々も先怪我等も無之趣ニ候
此段一様為安堵申達候
十月六日
千賀伝右衛門
田中休兵衛
太田弥次右衛門
松原惣八
木村辺作
近藤半助
伊東宇八
松浦たえ
小野惣七郎
成瀬甚助
金沢藤左衛門　新込様迄
七ツ頃時
去ル二日夜江戸表厳敷地震ニ付　殿様早速御役所被遊御出其
内所々出火ニ付紅葉山江被遊御詰其後被成御登城御退出候森
川御隠居様　御住居江被遊御立退お久様ニ茂同御殿江被為入
御二方様共益御機嫌能被成御座候段申来ル
十月十三日