[未校訂]十四日 夜半に大地震
十五日 朝方、地震五度。肥前五島に外国船来航。五月に、
周防では大雷、大雹があり、雹の重さが二百匁もあった。
死者も出たという。
十九日 京、摂津で大地震があったとか。
三十日 十四日以来、毎日天気がわるくて、むしあつい。日
が照ったり雨が降ったり、定まらない。雲は西南から出
て、全く風がない。今日は午後から暫時雨が少し降り、雷
も少々、夜は晴れた。
このところの地震は、大和・伊賀・伊勢・近江・越前が一
番ひどかった。大和の南都、伊勢の四日市、浅熊では家が
倒壊炎上したり、地割れして泥水が湧き出たり、人畜とも
に死傷する。その数はかぞえられないほどであった。越前
の福井では十三日に大火があり、十四日は大風が吹き、夜
大地震、城下も農村もみな崩れ、そのあとに洪水が出た。
大和の郡山、伊賀の上野、伊勢の亀山、近江の膳所、山城
の淀の各城が崩れた。京・大坂でも三日間に七十何回もゆ
れた。そのため住民も旅人も舟暮しをしたり、野宿したり
する者が多い。河内・和泉・丹波・丹後・播磨でもひどか
った。その他、被害の及んだ国の数はわからない。まこと
に古今未曽有の大変事である。