地震史料集テキストデータベース

[未校訂]（新居町に関する古記録・七里飛脚之事）
一新居渡海船道之儀、古来ハ湊口舞坂宿中程ニ有之候処、
段々西江寄其後は舞坂舟場南之方に在之、依之舟道深舟
通路能御座候処、夫ゟ又連々西方江寄舟通路悪敷相成往
来差支候ニ付、其節ハ牧野大学様御領知ニ而これあり、大
学様ゟ公儀江被仰立、三拾年前以前宝永四亥年九月江戸
町人松葉屋喜兵衛と申もの定浚御普請御附被下候、右喜
兵衛ハ死去仕候ニ付只今万太郎御請仕罷在候、然処亥ノ
年十月四日大地震ニ而大浪打、湊口猶又西江寄前々三四
丁も在之候[口|くち]、凡拾丁余も広く成荒海ゟ之波直ニ舟道江
打掛、渡船通路不宜候ニ付御大名様本坂御通行被遊候而
吉田ゟ浜松迄之六宿迷惑至極仕候ニ付、吉田二川白須賀
新居舞坂浜松六宿江戸江罷下り、道中御奉行所江御頼申
上候得は、宝永六丑年湊口新居浜之方江乱杭御普請被為
成下候へは、渡船通路能相成本坂御通行等御停止ニ被仰
出候故本坂通相止申候、其節御普請御奉行御目付伊勢平
八郎様、御徒目付松永小八郎様、野田源兵衛様、其外御
小人目附衆六人、六月ゟ極月迄御附居御普請出来申侯由
但御旅宿者舞坂ニ御詰居之由、右之節道中奉行
松平石見守様
大久保大隅守様
御勤メ
一新居町只今場所引越候訳は、亥之年地震ニて相危候処、
荒海近く殊更地下キ（○ママ）成所ニ而大浪之節引場も無之、以来
住所可成地ニ無之候ニ付、宿中相談之上江戸江罷下り、
道中御奉行所江罷出取替之御願申上、子年当地江引越申
候由、但大学様より地形被仰付引越金惣町中江弐千五百
両御借シ被下候由
右金返納不仕得今以借用仕罷在候由