地震史料集テキストデータベース
[未校訂]二月晦日 地震今日巳刻地震、近年稀なる様子ニ候得共、御城始侍屋敷・
町郷村共ニ破損無之、南山田嶋町ニ而人家押倒怪家（マゝ）等在之
由、同所検断方ゟ注進申出候間、御蔵入郡奉行諏訪十左衛
門、明細ニ相改候得は、家数
百
九拾七軒・土蔵三拾九棟押
倒、死人男弐人・女六人有之、外ニ男女七拾九人・馬五疋
致怪家（マゝ）不便成体ニ付、加判之者とも僉議之上手当申付之、
四月十八日 猪苗代御城御本丸石垣、御修補被仰付
二月晦日、猪苗代御城御本丸之石垣、丑寅并未申二ヶ所、
地震ニ而崩レ候故、御修補之儀、御老中様へ御物語被成候
得は、何程少分之事ニ候とも、絵図被差出候様被仰候間、
破損仕候所番所已下迄、明細絵図ニ仕立被差上候処、御老
中様ゟ御奉書を以、石垣破損築直之儀御差図在之、依而此
外少々破損之所在之候ハゝ、重而不及申上候間、乍序繕可
仕旨被仰出之、
四月廿五日 南山街道山王峠御普請
二月晦日之地震ニ山王峠崩レ、街道之往還難渋ニ付、御材
木奉行坂井源太郎、并割之者志賀善助為見分罷出候処、新
道附替候場所も無之候間、是迄之道筋嶮岨ニ成候所は、岩
を切広メ、狭所へは梯を懸ケ、其間ニ馬除を置候ハゝ、人
馬之往還大形自由ニ可相成、尤人足大図五千人程も相懸可
申由、其辺之百姓共差積候、此由見分之者共申出候ニ付、
加判之者共致僉議、御蔵入之人足を以為致普請候様、小奉
行有賀庄五郎ニ、足軽三人相添差遣、急ニ取懸候へ共、梯
数多ク有之候得ハ、以前と違道筋も危体ニ相成候、依之其
様子有増絵図ニ調、評議之趣共ニ致言上候処、三月十三日
之雨ニ、峠之道二三ヶ所崩レ、此分ニ而は普請致成就候而
も、又破損も難知、尤梯多有之候間、後来迄普請相絶間敷
候、同は新道付替候方可然与再為見分、御普請奉行河野十
左衛門・横山八兵衛罷出候処、道普請之事、御老中様方へ
御耳打有之儀ニ候得は、松川通新道切開候義も、其序ニ被
仰達可然哉、此新道切開候得は、江戸へ拾壱里余近ク、
若松ゟ江戸迄白川通六拾五里八丁半、南山通五拾八里弐拾八丁、松川通五拾三里拾五丁半、廻米其余之品々運送自
由ニ相成、駄賃銭等減候事ニ候故、去年佐川勘兵衛罷登候
節、此道之義申上御前ニも可然被思召候へ共、勢至堂南山
両道之者とも、可致迷惑、其上公儀向相調候哉も難知、御
差扣之思召御尤ニ存罷在候得共、此度山王峠崩レ候を幸
ニ、御老中様へも被仰達候様致度旨、重而致僉議候内ニ、
十左衛門・八右衛門見分ゟ罷帰、山王峠新道付替候場所曾
而無之候間、是迄之道筋普請取懸、人足六千六百四拾人、
大工百七拾壱人、鍛冶五拾六人ニ而、成就いたし候積之外
ニ、岩石等柔ニ而人足不費、已前ゟ道筋も宜敷相成候由申
出候間、此段及言上候ヘハ、松川通新道之儀、一ト通御老
中様へ被仰達、公儀御差合も無之候ハゝ、会津町中其外勝
手ニも能候間、新道切開度思召候得共、山王峠道筋普請
成就ニ付而は、達而新道開度趣ニは被仰入間敷候、此段内
々心得候様被仰出之、