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項目 内容
ID J0300628
西暦(綱文)
(グレゴリオ暦)
1819/08/02
和暦 文政二年六月十二日
綱文 文政二年六月十二日(西暦一八一九、八、二、)伊勢、美濃、近江、地大ニ震ヒ、伊勢湾、琵琶湖ノ沿岸震害特ニ甚シク、倒潰家屋並ビニ死傷者少ナカラズ、是日、京都・金澤・安藝・信濃・飛彈モ亦震火、金澤ニテハ潰家ヲ生ジタリ、
書名 *〔猿著聞集〕○八島定岡著
本文
[未校訂]春人地震に母を負ひて歌よみし事
伊勢のくに香取の里に村上春人といふものあり、今
よりは八とせまりさきのことになん、みなつきの十
二日未のときばかり、たちまち地ふるひ家なりうで
き、うつばりおち、壁くづれ、瓦くだけておちちら
ぼひ、ものおとひゞくこともゝのいかづきのおつる
よりなほおそろしく、今やあめつちくつがへりぬる
ことよど、おどろき、ひと〴〵なきさけびてはしり
さまよひけり、此とき春人は老たる母をせおひて、
外の方にいでゝ見るに、こゝかしこに家くづれて、
つちけふりそらをおほひ、日のかげくらく、ぬくべ
きさきすら見えわかたず、ものおとのみひたきこえ
て、ひたぶるおそろしかりけるを、からうじてはし
りのき、ひとつの竹ばやしのかたはらに、母をおろ
しせをかいなでゝありながらも、なかばうつゝのご
とくなりき、やう/\に心しづめつゝこしよりやた
てといふものとうでゝ、歌よみけり、山にきゞすの
なくをきゝて
音すれば人とおもひつかゝること
しらでや雉子の山になくらん
とよみけり、しづまりてのち、かゝる中にてうたよ
みうるはいとこそうつけのわざなめれと、人々のい
ひければ、春〓わらひて、まことよき歌のとくには、
あめつちをうづかすべしと、古今集のはしがきにも
はべり、わがあしきうたにはうごくあめつちもえし
づまりなんこともこそあらめとおもひて、さてはこ
しをれをもよみはべりと、たはぶれければ、人々わ
らひてやみにけり、さはれまことはさにあらず、わ
れおどろかば母もさこそはおどろきだまふらめと、
さらぬさまにもてなしゝなりと、ある人のいひし、
さもありなんかし、此とき二ツの御寺二十八宇の家
居みなたふれて、ぬりごめ小家はかずをもしらず、
さりながら死たる人疵つきたる人とては、ひとりも
あらざりき、かの一目連のまもらせたまふゆゑなら
んと、人々のたふとみしことになんありける、その
國よりきたりし人のかたりしまゝにしるすなん、
出典 増訂大日本地震史料 第3巻
ページ 220
備考 本文欄に[未校訂]が付されているものは、史料集を高精度OCRで等でテキスト化した結果であり、研究者による校訂を経ていないテキストです。信頼性の低い史料や記述が含まれている場合があります。
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版面画像(東京大学地震研究所図書室所蔵)

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