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[未校訂]私御代官所伊豆國附大嶋之内三原山御祠と申所、餘程廣場所にて草水一切無御座、小石交之砂土山に候處、當七月廿九日暮時、地中より火燃出、四方空より赤煙立、燒登候音夥敷聞、折々地震仕、時々髪の毛より細黒白長さ壹寸伍〓貳三位寸位有之灰、并小きかなくそ之様成灰降、當月大日者朝より夜中大雨降候得共、猶々炎燒音強、翌七日者別音強、灰も度々降、地震も度々有之、當月十一日迄鎭不申候故、嶋中男女共家業相止罷在候段、同日嶋人共差出候注進状、昨十八日相屆申候、且又神火に、天和年中右山燒候砥有之投申傳候に付、穢有之者は相除、其餘者嶋中之者共、未明〓濱邊罷出垢離を取、鎭守へ参諸祈祷仕候役、注進申越候、依之御屆申上候、以上、
酉八月十九日江川太郎左衞門
御勘定所私御代官所伊豆國附大嶋之内三原山と申所、山燒之儀、嶋役人共〓注進申越候趣、別紙を以御屆申上候處、毛乏降候者、嶋中一統何程降候哉、大造之儀候哉、少々之儀に候哉、御尋に御座候得共、此度注進には嶋役人共罷出不申、書面を以申越、委細之儀相知不候に付、右嶋船之船頭〓（〓カ）相尋候處、三原山者大嶋之眞中に有之、四方に五ケ村之村居有之、峯迄凡貮里程有、天和年中神火に而山燒之節、峯に洞出來、御洞と申傳候由、此度山燒之儀、右御洞より燒出、髪之毛より細き黒白長さ壹寸位〓貮三寸位有之灰、并かなくそ之様成灰降候處、かなくそ之様成灰者、五ケ村之内二三ケ村へ降、毛〓細き灰は五ケ村共不殘降候處、風之吹廻しにより多少御座候由、然共壹寸共溜り有乏體者無御座、多き所にても蜘之巣之ごとく溜り有之候段申乏候、尤嶋役人共罷出候はゞ、相尋候上猶委細之儀可申上候得共、御尋に付船頭へ相尋候趣申上候、以上、
酉八月江川太郎左衞門
御勘定所私御代宮所伊豆國附大島之内三原山と申所山燒之儀、先達御屆申上候處、又候爲注進右島年寄壹人、當月十二日大島出船、一昨十八日江戸着船仕候に付、相尋候趣、左に申上候、
一右三原山者、大島之眞中に有之、天和四子年より元祿三午年迄七ケ年之間山燒候節、山上に凡拾町四方程之洞穴出來、今以其儘有之、深さ何程可有之哉難計御座候、當七月廿九日暮時、右洞穴より火氣吹出、夜分者山上一面に火氣相見、晝者煙許にて火氣者相見不申候、山燒強弱有之、燒音夥敷折々地震仕、髪之毛〓細黒白長さ壹寸位より貮三寸依有之灰、并小きかなくて之様成灰降候得共、八月廿五日比迄者差相替候儀も無御座、同廿七八日者燒音地震共相止、灰も降不申、同廿九日北風に雨降候得共、燒強罷成、九月六日之曉方〓別燒強、煙り夥敷、燒音雷之ごとくにて、地震も度々有之、同八日より九日夕方迄大風雨に御座候處、燒強、九日暮比〓風雨止候得共、火勢強、燒音も彌増強、同十二日朝迄は相替候儀無御座、灰者降不申喉、燒候石砂交、風之吹廻しにより降候儀も御座候段申之候、且又晴天には此節にも殊之外暑く、極暑同様御座候段申之候、
一島方之者共、農業獵業渡世相休罷在候哉相尋候處、最初は燒音に恐、男女共罷出兼候得共、長々之儀に付、鳴音聞訓練候氣味も有之、第一相休候は給物無御座候に付、天氣能鳴音薄日者、晝之内罷出、作置候里芋薩磨芋取來、又者薪伐出し渡世仕候旨に御座候、獵業は此節〓獵仕候最中に付罷出候得共、山燒にて島近所へ魚寄不申候哉、獵事一切無御座候旨申之候、
一諸作實成方如何御座候哉相尋候處、大島には田方無之、山畑〓冬は麥、夏者粟、里芋仕付候處、最早粟者收納仕、此節作物里芋、薩摩芋許有之候得共、山燒火氣嘗り、又は燒石砂降懸り候故、莖者不殘枯失仕候に付、土中〓芋を取入、當時第一之夫食に仕候所、是又實入至悪敷御座候段申之候、
一九月中旬〓此節迄島方〓出船無之儀、山燒故に候哉相尋候處、山燒にて獵事無御座、薪伐出方も薄御座候に付、荷物少く、其上去月中旬比〓當月十二日迄順風無御座候に付、島出船無之、順風さへ御座候得者、山燒故出船不相成と申儀有無御座候段申之候、
一江戸渡海遠島中、夫食差支候體之者は無之哉相尋候處、此節は粟并芋有之候に付、鳴音薄日者罷出、夫食足し合に可成獵蠑螺海老之類取、無油断相稼取續候様可致旨、島役人共〓百姓共へ精々申渡候付、一同申合、取續之手段仕候段申之候、
一此度山燒之様子、天和年中山燒之節同様に候哉相尋候處、天和年中御製米被下置候儀者、島役人方に書物御座候處、其外之儀者申傳候迄に御座候處、山燒之様子、先年同様に御座候得共此度者可有（以下数字アルニ似タリ）御座旨申之候
一山燒之儀、山上〓火吹出し候而を、山々草木并百姓家居近所火移燒可申體に者無之哉相尋候處、三原山上迄凡高貮里程も可有御座候得共、草木は山の据通り有之、其餘は岩砂山にて草木一切無御座、山上洞穴より火吹出候故、山山草木へ火移候儀者無御座、天和年中山燒之節も、草木并百姓家へ火移候儀者無之旨申傳候段申之候、
右者、大島山燒之儀爲注進、年寄壹人、昨十八日江戸へ着仕候に付、相尋候趣申上候、以上、
酉九月十九日江川太郎左衞門
御勘定所私御代官所伊豆國附大島三原山と申所山燒之儀、去酉年十月廿九日〓夜中鳴も強、燒音も有之、折々細か成燒砂降り、當正月中旬比者、火氣燒音共別強御座候處、正月下旬より火氣燒音共少々鎭り候段、二月十一日出大島役人共〓注進申越候付、御屆申上候、以上、
戌五月江川太郎左衞門
御勘定所私御代官所伊豆國大島三原山と申處山燒之儀、段々燒止可申様子に御座候處、當九月八日朝より又候燒候段、右島役人共〓注進申越候趣、去月廿四日御屆申上候、尤先達は中野澤と申處へ燒出申候、右場所は當時燒止、此度は赤澤と申處へ燒出、晝夜共に殊之外燒強、夜中明り夥敷、煙大分立登、音凄凉、大石を落候様に地響仕、三原山未申之方燒崩れ、夫より大島之内差木地村野増村之間赤澤と申澤へ燒出、右之澤凡幅三間程、深さ壹丈四五尺程御座候處、大石崩れ落、澤を埋、其邊之草木不殘燒失仕、右近所野増村之畑、火氣に作物不殘枯候由、右赤澤長風（〓カ〓ノカ）海邊迄三里程有之、差木地村野増村之間に御座候處、大石にて埋候付、兩村往來相成不申候由、百又木之葉燒候灰、島中五ケ村共降り申候由、右山燒神火申傳候付、村々之内女未明より濱へ出、垢離を取、其村々之鎭守へ祈願仕罷在候由、右島役人〓注進申越候付、麁繪圖相添御屆申上候、以上、
戌十月六日江川太郎左衞門
御勘定所私御代官所伊豆國附大島三原山と申所山燒之儀、右島役人共〓注進申越申趣、當月六日御屆申上候處、右注進申越候段、同島泉津村〓壹里半程東之方ごみ澤と申澤へ燒出、右澤之儀者、三原山より海邊迄長三里程有之候内、壹里程燒下り、夫より左右壹里程燒廣り、海中へ燒石押し、波打際より沖へ壹町許水上炎夥敷燃、高貮間程、横幅壹里程、大石にて築上申候段、且又燒音晝夜大雷のごとく鳴、地響強く、夜中明り凄凉、廣煙、島中男女驚入、垢離を取、鎭守へ祈願仕罷在候段、右島役人共〓九月廿七日出島船便注進申越候に付、麁繪圖相添御屆申上候、以上、
戌十月十三日江川太郎左衞門
御勘定所私御代官所伊豆國附大島三原山と申所山燒之儀、當月六日、十四日両度出島役人より注進申越候趣、先達御屆申上候處、其後地中燒音追日強く、雷鳴如くにて燒立候處、當月十七日夜〓殊之外火勢強く、燒音彌増嚴敷罷成候由、且又當月廿一日晝時比、三原山〓凡二里程隔泉津村之内宗葉地釜と申所より、煙立火然で候段、右村之者共〓島役人へ注進申出候旨、當月廿一日出島役人出島仕、委細可申出旨申越候、依之御屆申上候、以上、
戌十一月江川太郎左衞門
御勘定所私御代官所伊豆國附大島山燒之儀、去酉七月廿九日〓燒出、強弱は御座候得共、燒止不申候處、當九月十八日、同廿六日両日、別強燒出候旨、島役人共注進申越候間、御屆申上候處、見分之者差遣候様被仰渡、則手代遣（イ差）し見分爲仕候趣、麁繪圖相添左に申上候
天和四年子二月十六日
一三原山御〓燒出跡、此度燒出候、
天和四年子三月八日
一三原山御洞より壹里程下
寅之方字小釜瀧下より海邊燒出跡壹ケ所
當時、字新築出と申傅候、
安永六年酉七月廿九日
一三原山御洞燒出口壹ケ所
安永七年戌三月廿二日
一三原山御洞〓字中野澤壹ケ所
但シ長壹里程・幅拾間程、深さ拾五六間、
安永七年戌九月十八日
一三原山御洞より字赤澤壹ケ所
但長壹里半程、幅七八間（イ程）、深さ三拾間程、
安永七年戌九月廿七日（イ六）
一三原山御洞〓字ごみ澤壹ケ所
但長貮里程、幅三町程、深さ三間程、
右者大島三原山御洞之儀、去酉七月廿九日より燒出し、山中鳴音強く火勢立登り、燒音嚴（イ強）敷日者、黒き砂に灰少々交り降候震動仕候處、當三月廿二日、御洞〓字中野澤と申所へ燒出候處、其後正月〓靜に相成、御洞之内黒煙立登、火勢少々宛相見候段、百姓共五月〓八月上旬迄者山稼等も仕罷在候處、又候八月下旬〓御洞〓燒出強罷成、九月十八日、字赤澤と申澤へ燒出、夫より同廿六日、字ごみ澤と申澤へ燒出申候處、未右二ケ所之儀、火氣氣煙強御座候、且右御屆申上候節、御書付を以被御渡候趣、相糺、左に申上候、
一大島三原山燒方之様子、并何村者當時強燒候哉可申上旨御尋に御座候、此段三原山御洞と申處、凡東西三町餘、南北拾町程にて、深さ之儀は何程御座候哉、島役人共も不奉存候由御座候、尤御洞と申處を三原大明神と唱、島中惣鎭守と申傳候由に御座候、此洞之内〓天和四子年〓燒出、元祿三午年迄七ケ年之内燒出候處、年に寄燒方強弱も有之候由、島中にて申傳候由（イ段）申乏候、然處去酉七月廿九日、右御洞〓燒出、夫より火勢強弱御座候得共、燒止不申候、併中野澤は相鎭り、赤澤、ごみ澤も燒止候様子に御座候得共、今以火氣（イ勢）強御座候、右體段々鎭り、當時御洞之内許燒候、日夜煙立登候得共、一體相鎭り候方にて、居村迄砂灰等降候程之儀も無御座候、尤村々〓凡壹里半〓三里位迄隔候場所（イニ）御座候、
一字中之澤、字赤澤と申所燒、夫〓又候ごみ澤と申處燒出候段、左候得ば島中三ツに相成、往來指支、島中に互之助合も成兼可申旨御尋に御座候、」此段當戌三月廿二日、三原山御洞戊亥之方燒崩、夫〓字中の澤へ燒下り、泉津村〓東之方、右村より平日百姓稼山参り候道下にて燒止申候、尤人家〓道法凡十八九町程相隔申候、且九月十八日、御洞〓未申の方燒崩、夫〓野増村差木地村之間字赤澤と申澤へ燒下り申候、右赤澤の内燒止候場所迄、両村〓道法壹里程（イ〓ヽ）も相隔申候、右澤之裾通海端迄之間、當時にて〓通路相成候様罷成候間、島中に相互に（イ之）助合等差支無御座、且又同月廿七日、御洞〓丑寅之方、夫より字ごみ澤と申澤へ燒下り、是は海邊へ燒出、磯〓海へ凡〓壹町程、横拾町餘も有之燒出、高さ之儀は海中水上に凡五大間程も高く相見申候、此所打際にて未黒煙立登申候、右場所は六島裏山にて嶮岨に御座候間、元來村居も無御座、泉津村稼山にて、外村々へは道筋も無之、通路不仕場所に御座候、
一少々は火氣不屆方之田畑は用立、草之葉等、夫食助合にも相成、魚類等も少々は有之、薪等も伐出候儀も相成候哉之旨御尋に御座候、
此段大島之儀、田方は無御座、畑方之儀も芝山抔年々切替畑に仕候、島内五ケ村御座候處、新島、岡田右貮ケ村之儀は、火氣不屆畑も御座候間、里芋薩摩芋其外草の葉、夫食之足合に取入申候、尤薪伐出し、并漁業も有之村方御座候處、漁業之儀者、山燒之音海へ響有之哉、去秋中〓漁業薄相成候、且又山燒不強節者、日々山稼も仕、其上島中〓伐出候薪、江戸表へ積出相稼候村方にて、此節も右品々相稼渡世仕候、且又野増、泉津、指木地、右三ケ村は、山稼專之村方にて、魚業等不仕、作物仕付候場所も、前書貮ケ村〓少御座候處、右赤澤、ごみ澤へ燒出候火氣煙等掛候故、別實入不宜候得ども、里芋薩摩芋共少々收納仕候、且又山燒不強節者、日々罷出、薪伐出、江戸表へ相廻候へ共、燒石押出、稼場少く罷成申候、
一當時燒出候處は、人家無之方と相聞候、人家〓者何程隔有之候哉可申上旨、御尋に御座候、
此段三原山御洞〓燒出、人家御座候處迄は、村々何れも道法凡壹里半〓三里位迄相隔申候、
一地中之燒候儀、萬一人家有之候方へ燒出候はゞ、急に百姓共立所に迷ひ候様成儀者有之間敷候哉、若左様之節は如何様に取計、急難を救候哉、手當可相成候哉、可申上旨御尋御座候、
此段新島、岡田村之（両脱カ）儀、三原山〓西北に當、よせ之腰と申山にて相隔、急難之儀者御座有間敷奉存候、野増、泉津、指木地三ケ村之儀、新島、岡田貮ケ村と違、三原山〓よせの腰同様覺出防に相成候山も無御座候間、新島村へ引越候様吟味仕候處、當時山燒も格別靜に相成、殊更居村を離候は、第一稼方差支、渡世難相成候付、外移之儀御免相願申候、尤此上山燒強相成候節は、新島村へ引移、萬一山燒之様子より通路差支候節は、新島村相殘候廻船、并類船を以、爲引移候節は、手當申度置候、一體山燒之儀、神火と唱、居村迄燒出候は無之旨、前々〓申傳、安堵仕罷在候旨申之躾、
下ケ紙
怠離之節は利島、新島、伊豆國下田港、同國稲取村、相州三崎浦、其外何れ之浦々へ殘とも、風様次第乗附、江戸表并豆州韮山役所最寄之方注進可申出旨、島役人共へ申渡、且流人之儀君、其節至はゞ、夫食宜爲特邉、出島急度爲到間數旨、尤大島〓利島へ七里程、新島へ十里程、豆州下田港へ十八里程、同國稲取村へ八里マヽ程、相州三崎へ十八里程、江戸迄三十六里程、
但廻船五大艘程漁船三拾餘艘
新島
両村
岡田
一島中人数も貮千餘之儀に候處、島船貮拾艘にて、急に右人数爲立退候儀も相成間敷候、其節之手當之儀可申上旨御尋御座候、
此段前條に申立候通、新島岡田両村者、よせの腰と申山にて相晴候付、御洞〓燒下り候儀も御座有間敷相見申候、野増、泉津、指木地三ケ村之内へ、若民家迄危體に燒出候儀を御座候はゞ、無〓之村方へ列移、早速注進申出候儀申渡置候、尤島方廻船貮拾艘程之内、江戸表へ薪積出候も五大艘宛は島方に殘有の候間、萬一通路絶切候様に燒出候節は、右船相廻候怪我不仕候様取計之儀、得と手當申渡候、
一島迄往來之船便差支無之、急難之間に合取計方可有之哉可申上旨、御尋に御座候、
此段前條之通、薪等江戸表へ積來候廻船、島方へ積歸候穀物等、江戸表に買調候間、逗留仕居候に付、島（イ方）迄往來之船便差支無御座候、且又島方より江戸表へ渡海之儀も、島方に殘有之候有之候廻船、其外漁船等も御座候間、是又船便差支之儀無之、急難之儀有之候も間に合候儀御座候、
右者、私御代官所伊豆國附大島山燒爲見分手代差遣、彼地見分之上、被仰渡之趣を以、島役人共相糺候處、書面之通御座候、且又山燒之儀段々相鎭り、當時に者澤々者燒止り、御洞計畫夜燒申候、中之澤之儀者相鎭り、赤澤之儀も火氣煙は今以御座候得共、道上に燒止り候に付、通路差支も無御座候ごみ澤之儀者、今以火氣有之、其外海表迄燒出候得共、是は居村無之方に御座候間、常々も通路不仕場所に御座候、併右澤々燒候節、泉津、指木地、野増三ケ村相稼候山谷へ燒石押出、稼薄罷成、新島、岡田両村者、船持共有之候村方にて、島中〓伐出候薪積送り、或は山稼、其外漁業仕來候處、薪出方少罷成、其上漁業薄難儀仕候得共、去酉十一日下旬〓當五月中迄、御救被下置候付、無難取續罷在候段、島中一同舉難有仕合奉存罷在候、作物之儀も石山燒故、平年之通には出來不仕候得共、麥作里芋薩摩芋類收納仕候間當年中之天食取續者（イ使）、可成に可行屆體に御座候、俵之見分之趣、麁繪圖に相添申上候、以上、
イ安永七
戌十一月江川太郎左衞門
御勘定所
伊豆國附
大島家数人別百姓渡世大概書付
覺
無當大島東西貮里半程、南北五里程、
江戸〓海上三拾大里程、
相模國三崎〓拾八里程、
家数五百拾八軒
人別二千貮百九拾八人
外五人流人、并出生子供、
社三拾七ケ所
外寺三ケ寺
堂四軒
一薪伐出江戸廻五ケ村共、年中渡世仕候、
一里芋五ケ村共、
一薩摩芋夫食に仕候、
一粟少々切替畑に作り、
一麥少々
一いたとり
一ところ五ケ村女子供、
一山の芋春中山稼にて、
一藤の根夫食足合仕候、
一あしたば
一鰹釣漁新田（島カ）、岡田二ケ村に夏漁仕候、
一〓鱸納漁（綱カ）右二ケ村にて秋漁仕候、
一海苔はんば右二ケ村にて女子供、冬中磯にて相稼、夫食足合仕候、
一四季共各別替り候儀無御座、風は都片吹に、時々大風仕候、
一此村、國地百姓共にて平日渡世相應に相成候、新島村岡田村村方に御座候、
一此三ケ村之内、差木地、泉津貮ケ村は、男は□野増村惣髪にて、一體之村柄も新島、岡田二ケ村〓□差木地村違、平日渡世困窮成村方に御座候、□□□□泉津村、
一醫師無御座候、
一鳶烏雀数多有之、鴎少々有之候、
一羊凡千疋餘、
一野馬凡六捨疋餘、
一野牛凡貮百疋餘、
右大島五ケ村之内、新島、岡田両村之儀は、濱附之村方にて廻船漁船も御座候間、山海之稼も仕候に付、渡世相應にも相成候趣御座候、且野増、差木地、泉津三ケ村者、年中山嫁之外、渡世致方無御座、別困窮之體に相見申候、
右者、大島山燒爲見分渡海仕候手代共爲二相糺一候趣、書面之通御座候、依之申上候、以上、
戌十一月江川太郎左衞門
御勘定所
右之通御座候、
以上